2019年の実質GDP成長率は前年比1.3%

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年02月17日

ロシア連邦統計局は2月3日、ロシアの2019年の実質GDP成長率を前年比1.3%と発表した。過去3年で最も低い成長率となった。名目GDPは109兆3,615億ルーブル(約185兆9,146億円、1ルーブル=約1.7円)。経済活動別で成長率をみると、金融・保険(前年比9.7%)、鉱業(2.7%)、小売り・卸売り(1.7%)が成長に寄与した一方、不動産業では、非居住用不動産賃貸の落ち込みにより、前年比マイナス0.6%となった(表1参照)。

表1 経済活動別の実質GDP成長率(前年同期比)

需要項目別でみると、最終消費支出が前年比2.4%、総資本形成は2.7%となり、国内需要の増加が成長に寄与した(表2参照)。最終消費支出のうち、政府支出は主に道路整備や清掃サービスへの利用で2.8%。民間支出は主に金融サービス(決済および現金サービス、送金、電子サービスの拡大など)の成長により2.3%となった。2017年、2018年と比較して伸び率が鈍化した。付加価値税(VAT)引き上げ(18%→20%)による消費の落ち込みが原因とみられる。また、輸出は2009年以来10年ぶりのマイナス成長となった。連邦統計局は、不利な交易条件を背景に輸出が減少したと指摘している。

表2 需要項目別の実質GDP成長率(前年同期比)

情報分析センター「アルパリ」のナタリヤ・ミルチャコワ副代表は「低い経済成長率は、2019年1月からのVAT引き上げと実質所得の低下(前年比0.8%増)によるものだ」と分析している(情報分析センター「アルパリ」2月3日)。

なお、2019年の実質GDP成長率について、経済発展省は1.4%と発表。2020年の実質成長率については、経済発展省が1.7%、IMFが1.9%、世界銀行は1.6%と予測している(2020年1月28日記事参照)。

(加峯あゆみ)

(ロシア)

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