2020年のロシアの実質GDP成長率は1.9%、IMFの経済見通し

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年01月28日

IMFが1月20日に発表した「世界経済見通し」には、ロシアに関する予測も含まれている(2020年1月21日記事参照)。IMFは、ロシアの2019年の実質GDP成長率は1.1%、2020年は1.9%、2021年を2.0%としており、2020年と2021年ともに、2019年10月時点の予測と同じとなった(表参照)。

表 各機関によるロシア実質GDP成長率見通し

IMFは、世界全体の成長率は2019年の2.9%から2021年には3.4%へわずかに加速すると見込んでいる。これまで低成長を続けていたロシアをはじめとする新興市場国や発展途上国の経済回復が影響しているとし、2019年の先進国や新興市場国での金融緩和へ向けた動きが2020年の経済成長を後押しするとしている。ロシアでも、2019年に5回にわたる計1.5ポイントの主要金利引き下げが行われており、消費の回復に寄与するとみられる。

IMFロシア常駐代表のアネット・キオベ代表は12月、ロシアのGDP成長率について、「国内需要の増加、国家プロジェクト実施による経済的効果、中央銀行の金利引き下げにより、さらなる改善が期待される」と述べた(「ノーボスチ通信」12月4日)。

一方、ロシア会計検査院のアレクセイ・クドリン議長は、2020年のGDP成長率は1.5%以下となると予想、「低い労働生産性が課題であり、人口減少トレンドの中で労働生産性が向上しなければ、生産量を増やすことはできない」と指摘している(「ノーボスチ通信」1月14日)。

世界銀行は1月8日、世界の経済見通しを2019年6月時点から下方修正し、ロシアの2020年の経済成長率を1.6%、2021年を1.8%とした。インフラや人的資本への投資を含む国家プロジェクトによる経済成長促進が期待されるとした。ロシア経済発展省は2019年9月時点で、2020年のGDP成長率を1.7%、2021年は3.1%と予測している。

(加峯あゆみ)

(ロシア)

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