米FRB、金融政策の現状維持を決定、新型コロナウイルスの経済への影響は注視

(米国)

ニューヨーク発

2020年02月05日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は1月28、29日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、金融政策の現状維持を決定した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(図参照)。12月の前回会合(2019年12月16日記事参照)に続いて、フェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標は1.50~1.75%に据え置いた。今回の決定は全会一致だった。

図 政策金利(FFレート)の誘導目標の推移

金融政策に関する判断を微修正

FOMCの声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、米国経済全般の判断について、労働市場は依然として力強く、経済活動は「緩やかなペースで拡大してきた」とし、前回判断を維持した。ジェローム・パウエル議長は記者会見で、新型コロナウイルスの経済への影響について、「事態が初期段階にあり、影響が今後どの程度まで広がるのか非常に不確実」なことから、現時点で推測することはせず、「状況を注意深く監視している」と述べた。

内訳である需要項目について、家計支出に関する判断を前回の「力強いペース」から修正し、「家計支出が緩やかなペースで増加する」も、「企業の設備投資・輸出は依然として弱い」とした。

金融政策の判断について、FOMCは「経済活動の持続的拡大や力強い労働市場の状態、対称的な物価目標である2%近くでインフレ率が回帰することを支えるのに、現在の金融政策のスタンスは適切と判断している」とし、前回の「インフレ率の推移を支える」から、「インフレ率への回帰を支える」に修正した。パウエル議長は、12月のFOMCで数人の委員から「(現在の文言はFOMCが)2%以下のインフレ率で満足しているような誤解を受けるかもしれない」との指摘があったことを受けて、FOMCは「2%の物価目標を下回ってインフレ率が推移し続けることに満足していない」というメッセージを明確に発信するための修正だとした。

大手調査会社オックスフォード・エコノミクスの米国エコノミスト、キャシー・ボスティアンチッチ氏は、パウエル議長のコメントはFRBが「年内に利下げを行うかどうかまでは定かではないが、少なくとも利上げの検討から程遠い」ことを表していると述べた(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版1月29日)。

(権田直)

(米国)

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