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為替操作に関わる相殺関税措置にWTO違反との声も、米国内の反応

(米国)

ニューヨーク発

2020年02月12日

米国商務省は、2月4日に為替操作を根拠とする相殺関税の最終規則(2020年2月7日記事参照)を発表し、4月6日から施行予定だが、これに対し米国内では賛否が分かれ、WTO違反との指摘もある。米国の産業界や通商専門家のコメントを概説する。

鉄鋼業界などが支持

商務省が2019年5月に作成した最終規則案には、業界団体など47件のパブリックコメントを提出した。その中で今回の相殺関税を支持したのは、米鉄鋼協会(AISI)といった鉄鋼・アルミニウムの製造団体や米国労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)など。支持派は、為替操作が外国政府による輸出補助金に該当するだけなく、米国の輸出を妨げていると主張する。中には、為替操作で米国の貿易赤字を増やす国として、中国や韓国とともに日本を名指しするコメントもある。

米国商工会議所などは相殺関税がWTO違反と指摘

他方、米国商工会議所や全米自動車政策評議会(AAPC)、全米小売協会(NRF)は相殺関税に反対している。反対派は、定期的に為替に関する報告を行う財務省と異なり(2020年1月16日記事参照)、商務省には為替操作を認定する枠組みがなく、為替は複数の要因で変動するため補助金目的での為替操作を認定することは不可能と指摘する。また、WTO協定における補助金措置は「特定」の企業(群)のみに資することが要件だが、商務省の規則が対象とする「国際的にモノを売買する企業」は範囲が広いため「特定」要件を満たさず、WTO協定に抵触する、と指摘している。

これらのパブコメでの指摘に対して、商務省は2月6日の最終規則発表時に回答している。しかし、為替操作の認定については財務省と連携して客観的に判断するとの回答にとどめており、「外国政府による介入」の有無を判断する際の基準となる、為替変動に対する外国政府の行動の透明性をいかに測るかなど不明確な点が残る。WTO協定との整合性については、為替操作による補助金効果が「国際的にモノを売買する企業」に限定される限り「特定」要件は充足でき、また「企業」の解釈は商務省にある、と反論している。

今回の規則に対して、戦略国際問題研究所(CSIS)のマシュー・グッドマン上級副所長は、通貨の価値を公平に測ることは不可能とした上で、為替操作があったとしても「国際法の下で相殺関税措置の対象となる補助金に該当するかは疑わしい」と分析している。ピーターソン国際経済研究所のフレッド・バーグステン名誉所長も同じ立場からWTO違反を指摘し、国際法を犯さない代案として、他国がドルを買い付けた分と同量の相手国通貨を米国政府が購入することで、他国の為替操作を無効化すべきと提案している。

(藪恭兵)

(米国)

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