2019年度日本企業の海外展開調査、事業拡大先としてベトナムが中国に迫る

(世界)

国際経済課

2020年02月28日

ジェトロは2月27日、「2019年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」の結果を発表した。調査は2019年11月から12月にかけて、日本企業9,975社を対象に実施し、3,563社から回答を得た(うち中小企業2,990社、有効回答率35.7%)。

事業拡大先は中国が後退し、ベトナムが迫る

今後3年程度の海外進出方針について、海外進出の拡大を図る企業は回答企業全体の56.4%となり、前年度(57.1%)からほぼ横ばいに推移した。このうち「海外に拠点があり、今後さらに拡大を図る」と回答した企業に、今後、海外で事業拡大を図る国・地域(複数回答)を聞いたところ、中国と答えた企業が48.1%と最も多く、ベトナム(41.0%)、タイ(36.3%)が続いた(図1参照)。ただ、中国を挙げた企業の比率は前年度(55.4%)から大幅に後退し、5割を下回った。一方、2位のベトナムは初めて4割を超え、中国との差が前年度の19.9%ポイントから7.1%ポイントに縮小した。

図1 海外で事業拡大を図る国・地域(2019年度の上位3カ国)

保護貿易主義の影響が拡大、中国からベトナムやタイにサプライチェーン再編進む

米中貿易摩擦など保護主義的な動きが自社のビジネスに与えた影響について、「全体としてマイナスの影響がある」と回答した割合は前年度調査の15.2%から20.1%へ増加した(図2参照)。また、本調査の全回答企業による「保護主義的な動き」に対応した生産移管件数(一部移管や予定を含む)は計159件だった。主な再編パターンとして、中国からベトナムへの移管が全体の24.5%(39件)で、中国からタイへの移管が14.5%(23件)と続く。また、調達先や販売先の再編においても、中国からベトナムとタイへの変更が多い傾向が共通してみられた。

図2 保護貿易主義の影響(調査時点、全回答企業)

また、日本の自由貿易協定(FTA)締結国に輸出を行う企業のうち、1カ国・地域以上でFTAを利用している企業の比率は51.2%となった(図3参照)。大企業の利用率は70.5%と高く、利用検討中も合わせると83.5%に上る。他方、中小企業の利用率は46.4%と5割に近く、利用検討中も合わせると69.9%になった。

図3 日本の発行済みFTAの利用率

そのほか、本調査では貿易への取り組み、各国のビジネス環境、訪日外国人向けビジネス、海外ビジネス拡大のための人材について聞いた。

(山田広樹)

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