モスクワで極東振興イベント、就職フェアやスタートアップコンテスト実施
(ロシア)
欧州ロシアCIS課
2020年01月07日
ロシア極東の発展に向けた振興政策はこれまで、アジア太平洋諸国との関係強化に重点が置かれていたが、近年、ロシア企業による極東地域への投資振興に向け、ロシア国内での啓発活動が盛んに実施されている。極東連邦管区大統領全権代表部と極東・北極圏発展省は12月2~14日、モスクワの展示場エキスポ・センターで、「モスクワにおける極東の日」と題するフェスティバルを開催した。このイベントは3回目で、極東地域の経済や産業、ビジネスの展望、教育、キャリア、歴史、文化、観光などさまざまなプログラムを実施し、前回を上回る2万7,000人以上が訪れた。
会場では、極東連邦管区のうち10の連邦構成体が50以上の展示ブースを設け、極東の経済的成果や有望な投資プロジェクト、地域の文化、民族と自然の特徴などをアピール。物産展では、カムチャツカ産柳茶やハバロフスク産蜂蜜、沿海地方のハーブなど、「極東の1ヘクタール」(注)で栽培された農産物を販売した。またフードコート「カニをつかめ」には、極東地域の6つの連邦構成体と韓国の参加者が出店、4,500食を超える極東地域の料理を提供した。
フェスティバルは極東連邦管区への就職あっせんも目的としており、極東地域の大学の代表や雇用主との面談を含む就職フェアが開催された。ビジネスプログラムも用意され、アレクサンドル・コズロフ極東・北極圏発展相らの政治家やビジネスマン、文化人による講演のほか、若者向けにビジネスの基本や就職活動のスキルを教える講座も行われた。
9月の東方経済フォーラム(2019年9月20日記事参照)で発表された、極東地域に所在するスタートアップ・コンテスト(応募195社、うち予選通過91社)の決勝も行われ、人工知能(AI)を用いた中小企業向けウェブサイト構築システムを提供するアイガー(ウラジオストク)が優勝した。
また、さまざまな分野の極東での活躍を評価する「極東の星」の授賞式が行われ、外国投資家部門では、沿海地方で日本向け牧草生産事業などに従事する近藤商店(新潟県)が受賞した。
フェスティバルを立ち上げたユーリ・トルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領府全権代表は「極東地域の現状やビジネスチャンス、魅力について、モスクワと全ロシア国民に紹介し、その誇るべき点を語り合う機会にしたい」と述べた。
(注)極東への移住者に土地を無償で貸与・譲渡する制度。
(秋塲美恵子)
(ロシア)
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