2020年予算案が可決、前年比6割増の大型予算

(コンゴ民主共和国)

アビジャン、ヨハネスブルク発

2020年01月06日

コンゴ民主共和国の2020年予算案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが12月15日、国民議会で可決された。新年予算は、歳入、歳出ともに16兆8,958億コンゴ・フラン(約1兆982億円、1コンゴ・フラン=約0.065円)となり、2019年当初予算と比べ63.2%増の大型予算が組まれた。

政府は予算編成に当たって、徴税強化と支出効率化、厳正な予算執行を指針に据え、財政健全化への取り組みを重点施策に盛り込んだ。歳入の内訳は、国内財源が84.7%、国外財源が15.3%。国内財源は、企業活動の促進や徴税強化による税収増で前年比56.4%増を見込む。国外財源は、国際金融機関をはじめとする財政援助やプロジェクト融資の増加で約2倍の見込み。

他方で歳出は、経常支出が40.6%(前年比44.0%増)、公的債務返済が4.8%(32.4%増)、投資支出が31.0%(2.0倍)、補助金が13.8%(91.8%増)などとなっている。支出は、政府行動計画を反映し、国防・治安、復興、基礎インフラ、教育、保健衛生、ビジネス環境改善、貧困削減、情報通信、水・電気、鉱工業、農業分野の促進、環境保全などに重点的に配分される。

2019年1月に発足したフェリックス・チセケディ新政権(2019年1月28日記事参照)は、長期の政情不安の影響で損なわれた社会経済や基礎インフラの復興と経済改革の実行を公約に掲げ、2020年は公共投資を大幅に積み増している。予算策定時に発表された同国の2020年経済見通しでは、実質GDP成長率は5.4%、インフレ率は6.8%と見込まれている。

同国は、コバルト、ダイヤモンド、銅など天然資源の世界有数の産出国だ。8,000万超の人口を有し、特に全人口の約8割が10~20代で消費市場の拡大が期待される。経済成長を牽引する堅調な内需を反映し、輸入が増加基調にあるが、主要一次産品の国際市況の下落で輸出が伸び悩み、国際収支の悪化が懸念される。またIMFは、同国のGDP成長率を3.9%と見込み、前年比6割超増の大型予算は非現実的で、予算ギャップのリスクを指摘している。12月15日には、緊急を要する国際収支上の問題に直面しているとして、コンゴ民主共和国に対する3億6,900万ドルの緊急クレジット・ライン(RCF)を承認した。

ジェトロが同国の国家投資促進機関(ANAPI)投資促進部長のドミニック・ベイア氏にインタビューしたところ、「チセケディ大統領の就任後、積極的なトップ外交もあり、投資を目的とした海外からのミッションが急増している。日本からの投資や日本企業とのビジネス連携に期待したい」と答えた(11月20日)。ほかの南部アフリカ諸国と比較し現地政府や現地企業とのつながりがまだ少ない同国は、鉱物資源を中心としたフロンティア市場として高いポテンシャルを有する。なお、在南アフリカ共和国の日本商工会議所とジェトロは、2020年2月中旬に共同でビジネスミッションを派遣する予定だ。

写真 首都キンシャサの様子(ジェトロ撮影)

首都キンシャサの様子(ジェトロ撮影)

写真 首都キンシャサの様子(ジェトロ撮影)

首都キンシャサの様子(ジェトロ撮影)

(渡辺久美子、築舘弘和)

(コンゴ民主共和国)

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