憲法裁判所、議会解散の大統領令に合憲判決

(ペルー)

リマ発

2020年01月17日

ペルー憲法裁判所(TC)は1月14日、2019年9月30日の大統領令による議会解散(2019年10月4日記事参照)について、異議を申し立てていたペドロ・オラエチェア元議長(現常任委員会委員長)の訴えを退け、解散は合憲との判決を出した。

審議の最大のポイントは、与党が議会解散の根拠とした、議会任期中に内閣信任決議案が2度否決された場合に大統領に解散権限を付与する憲法第134条に該当するかという点だった。2回目の内閣信任決議案(議会におけるTC判事選出方法の改正と、信任決議案提出時に実施されようとした同判事選出投票の延期要請)について、TCは、今なお続く混迷した政治情勢の安定化に加えて、ペルーの公的仲裁機関であるオンブスマン(Defensoría del Pueblo)と米州機構(OAS)傘下の米州人権委員会からも信任決議案と同内容の要請があったことから、決議案提出の必要性と正当性を認めた。その上で、決議案提出後に判事選出投票を継続した議会の行為は信任決議案の否決と受け止められることは明白で、議会解散を命じた大統領令165-2019-PCM号は合憲だと判断した。

TCの判決を受けて、マルティン・ビスカラ大統領は、当初から合憲性の疑いの余地はなかったと述べた。一方、オラエチェア常任委員会委員長は、議会制度と権力の分離を守るという自身の責任は果たされたとして、判決内容を受け入れる意向を示した。

TCの審議の模様は、初めてテレビ中継された。これはマリアネラ・レデスマTC首席判事の提案によるものだが、試験的に実施されたもので、今後もテレビ中継されるかについては、今回の結果を精査した上で決定される。中継の様子はTC公式YouTubeチャンネル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでも視聴可能となっている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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