公務員給与を足かけ4年で23%引き上げへ

(フィリピン)

マニラ発

2020年01月09日

フィリピン下院は2019年12月18日、公務員の給与を2020年1月から2023年1月にかけて足かけ4年で4回、段階的に引き上げる下院第5712法案を可決した。引き上げ率は等級などによって変わるが、平均で4回で23.2%引き上げられる。正規雇用の公務員だけではなく、契約雇用やアルバイトも対象とされ、フルタイムかパートタイムかにかかわらず適用される。

フィリピンの公務員給与は現在、33段階の等級(グレード1~33)が設けられており、各グレードは8段階のステップ(ステップ1~8)が設けられている。下院第5712法案は、最も給与の低いグレード1、ステップ1の給与を2019年時点の月給1万1,068ペソ(約2万4,350円、1ペソ=約2.2円)から、2020年1月に1万1,551ペソ、2021年1月に1万2,034ペソ、2022年1月に1万2,517ペソ、2023年1月に1万3,000ペソに引き上げ、足かけ4年で17.5%(1,932ペソ)引き上げる。

政府はその財源として、2020年に340億ペソの国家予算を充てる。ドゥテルテ大統領は2018年1月、警察官と軍人の給与を2倍に引き上げたが、同じ公務員である公立学校の教師や公立病院の看護師については財源確保ができず、引き上げが先延ばしされていた。教師の給与は4回で24.1~30.1%引き上げられる。

下院第5712号は第1条で、マニラ首都圏の最低賃金の昨今の引き上げ状況を勘案した上で、公務員給与を市場の相場と乖離しない水準に維持するため、と引き上げの目的を定める。マニラ首都圏の最低賃金は2018年11月、2017年10月以来約1年ぶりに日額25ペソ引き上げられ、日額最低賃金が非農業分野は475~512ペソから500~537ペソに、農業分野は475ペソから500ペソに改定された。労働雇用省は2019年11月、2020年初頭にもマニラ首都圏の最低賃金が引き上げられる可能性を示唆した(2019年12月6日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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