税制インセンティブなど魅力豊富な米領プエルトリコ、ニューヨークで投資セミナー

(米国)

ニューヨーク発

2020年01月09日

ジェトロは12月11日、ニューヨーク市内で在ニューヨーク日本総領事館との共催により、米領自治連邦区であるプエルトリコへの投資セミナーを開催した。日系企業などから30人以上が参加した。

冒頭、ニューヨーク州上院議員でプエルトリコ系議員のルイス・セブルベタ氏は、プエルトリコでは、2017年にカリブ海を襲った大型ハリケーン「マリア」の被害からの復旧作業が現在も続いており、インフラ部門にビジネスチャンスがあるとアピールし、日本企業の進出を呼び掛けた。

また、プエルトリコ経済開発庁のマニュエル・ラボイ長官は、投資先としてのプエルトリコの魅力として、低率の法人税(注)などさまざまな税制インセンティブ、米国領であるため生産したものは米国製となり、米国向け輸出で関税がかからないこと、南米、欧州へのアクセスも良く、物流のハブとして最適なこと、などを紹介した。また、プエルトリコのGDPの約17%を占める製薬分野においては、ジョンソン・エンド・ジョンソンをはじめ、世界有数の製薬・バイオテック企業が工場進出していることからも示されるとおり、エンジニアなどの優秀な人材が豊富なことも魅力の1つだと説明した。さらに、インフラ分野に関しては、低所得地域「オポチュニティーゾーン」への投資を促すための税制優遇措置やPPP(官民連携)プログラムといった、豊富なインセンティブプログラムを挙げ、日本企業による投資への強い期待を示した。

さらに、プエルトリコの主要銀行バンコ・ポプラールのフランシスコ・ペリカス氏は、プエルトリコの5つの主要分野であるホテル事業や不動産事業、製薬業、エネルギー産業、官民インフラ投資における、現状と豊富な投資機会を紹介した。プエルトリコ商工会議所のホセ・レデズマ会頭は、商工会議所があらゆる分野の専門家を紹介できることや、ニューヨーク州政府とプエルトリコ自治政府との強いつながりがあることを強調し、進出時のサポート体制は万全だと語った。

最後に、現地に工場を有す、テルモ上席執行役員でテルモ・アメリカス・ホールディング取締役社長兼中南米地域代表の竹内寿一氏とテルモ・プエルトリコLLC副社長の尾木利久氏は、現地法人を持つ利点は低率の法人税率などさまざまな税優遇が受けられることにあると述べた。また、巨大ハリケーンで甚大な被害を受けたにもかかわらず、同社がわずか2カ月弱で営業再開できた経験についても言及し、現地の人々の熱心さや献身的な姿勢に感銘を受けたと語った。

写真 セミナーで講演するマニュエル・ラボイ経済開発庁長官(ジェトロ撮影)

セミナーで講演するマニュエル・ラボイ経済開発庁長官(ジェトロ撮影)

各講師の講演資料は、添付資料1(マニュエル・ラボイ経済開発庁長官)、添付資料2(バンコ・ポプラール:フランシスコ・ペリカス氏)、添付資料3(プエルトリコ商工会議所:ホセ・レデズマ会頭)を参照。

(注)投資振興機関インベスト・プエルトリコによると、法人税は付加税も含め最大で37.5%が課せられるところ、輸出産業など奨励分野では4%の優遇税率が適用される。また、利益の配当については無税で送金できる。

(湯浅麻里絵、菊池蕗子)

(米国)

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