ダボスでクリプト・バレーサミット開催、ブロックチェーン関連スタートアップが活況を呈す

(スイス、世界)

ジュネーブ発

2020年01月31日

1月23日にスイス・ダボスでクリプト関連技術(注1)のスタートアップのカンファレンス「CV(クリプト・バレー)サミット外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が開催され、スイスとリヒテンシュタインで金融法制の整備が進み、スタートアップ市場が活況を呈していることが明らかとなった。

スイスは、人工知能(AI)、医薬と並び、クリプト関連技術のスタートアップの集積で知られ、ツークからチューリッヒにかけての地域は「クリプト・バレー」と呼ばれる。チューリヒと同様に金融の盛んな、リヒテンシュタインにも活動拠点を置く企業が増えており、リヒテンシュタインを含めた広い地域を「クリプト・バレー」と呼ぶ場合もある。

5回目の開催となった今回は、世界経済フォーラムの年次総会(通称:ダボス会議)との連携を狙いダボスで開催された。スイスで2019年8月に(2019年8月30日記事参照)、またリヒテンシュタインでも同年10月に、ブロックチェーン関連製品に対する金融規制が整備され、銀行や取引仲介業務が始まっていることから、今回は金融とデータ分析・管理サービスを中心としたビジネス展開が主な議題だった。金融産業への取り込みが進まず「クリプト・バレーの冬」をいかに乗り越えるかが課題だった前回(2019年4月3日記事参照)と比べ、ブロックチェーン技術に関するビジネス環境の好転を感じさせられる。

同カンファレンスに合わせて公表された、クリプト・バレー専門のべンチャーキャピタルであるCV VCの市場レポートPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によれば、現在、842社がクリプト・バレーで活動を行っており、雇用は4,400人に上る。上位50社の市場評価額は合計253億ドルと、2018年末よりも約2割増加しており、市場の拡大を裏付けているという。カンファレンスにおいて、前年と比べて、フィンテック分野では実際に免許を取得し銀行業務を開始したところが出てきているほか、セキュリティトークンの交換・発行を行う事業者の内容も多様化していることが言及された。そのほか、マイニング設備(注2)の製造やセキュリティ確保など、周辺サービスにとどまらず、例えば、芸術作品のトークニゼーション(ブロックチェーンによるデジタル証券化)と現物確認に必要な拡張現実(AR)技術開発を行う事業者も登場しているとのことだ。

市場評価額10億ドル以上のユニコーンも増えた。CV VCの評価によれば、スイスではクリプト関連で5社が存在している。内訳は、イーサリアム(評価額144億ドル)、ディーフィニティ(20億ドル)、ポルカドット(12億ドル)、ビットメイン(10億ドル)、リブラ(10億ドル、リブラはフェースブックが導入を提唱している暗号資産の開発団体)。テッククランチ調べでは、スイスにはこれらとは別の6社が存在しており、合わせると11社ものユニコーンが存在することになる(ちなみに日本は3社)。

クリプト関連技術というと、暗号資産の新規公開による資金ラッシュやマネーロンダリングという悪いイメージがつきまとうが、スイスとリヒテンシュタインでの金融法制が定着するとともに、金融以外の分野での事業化が進めば、クリプト・バレーの成長は続きそうだ。

(注1)暗号を利用して、分散データを管理するブロックチェーン技術のこと。

(注2)暗号資産(仮想通貨)の取引情報を解析しブロックチェーンを作成するための専門コンピューティング設備。データの採掘からマイニングと呼ばれる。

(和田恭)

(スイス、世界)

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