フィッチ、大統領の健康問題で辞任するリスクは低いと発表

(フィリピン)

マニラ発

2020年01月17日

格付け大手フィッチの傘下で調査会社のフィッチ・ソリューションズ・マクロ・リサーチ(FSMR)は1月6日、フィリピンのドゥテルテ大統領が任期である2022年までに自身の健康問題を理由に辞任するリスクは低く、2022年の大統領選挙キャンペーンでは、自らの政策を引き継ぐ候補者が当選するようサポートする見込みが高いと発表した。

現在74歳のドゥテルテ大統領は2019年10月、難病の重症筋無力症を患っていると明らかにした。2018年には胃食道逆流症(GERD)と診断されたことが報道され、2017年には脊髄損傷の痛みを和らげる鎮痛剤を処方されていることを明らかにしている。フィリピンの民間調査会社ソーシャルウェザーステーションズ(SWS)が2018年に発表した調査結果によると、フィリピン国民の66%がドゥテルテ大統領の健康を心配しており、この割合は調査を行うごとに増加しているという。

FSMRは、ドゥテルテ大統領が2022年の大統領選挙キャンペーンにおいて、どの候補者もサポートする意向はないと現時点で主張しているものの、ドゥテルテ大統領の改革やインフラ開発計画を引き継ぐ候補者をサポートすることになるだろうとした。

ドゥテルテ大統領が健康上の理由で2022年の任期満了前に辞任した場合は、野党党首で副大統領のレニー・ロブレド氏が残りの任期を引き継ぐことになる。FSMRは、ロブレド氏が大統領を引き継いだとしても、上下両院ともにドゥテルテ大統領の支持基盤は固く、ロブレド氏がドゥテルテ大統領の政策を否定する路線を打ち出したとしても法案が通ることはなく、ロブレド氏の政権はレームダック化するだろうとした。

フィリピンの調査会社パブリカス・アジアは2019年12月、2022年大統領選挙の事前世論調査では、ドゥテルテ大統領の長女で、現ダバオ市長のサラ・ドゥテルテ氏が最も人気が高かったとする調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同調査は2019年11月、ビサヤおよびミンダナオの2,000人の有権者を対象に実施され、全体の35.1%がサラ・ドゥテルテ氏を選択した。副大統領候補の事前世論調査では、現大統領のロドリゴ・ドゥテルテ氏が11.6%で首位だった(2020年1月14日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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