2019年年末商戦の米小売売上高、前年同期比4.1%増、ネット販売中心に好調

(米国)

ニューヨーク発

2020年01月29日

全米小売業協会(NRF)は1月16日、2019年の年末商戦期間(11月第4木曜日の感謝祭翌日からクリスマスまでのホリデーシーズンを含む11月1日から12月31日)の小売売上高(自動車ディーラー、ガソリンスタンド、レストランを除く)について、前年同期比4.1%増の7,302億ドルだったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。NRFの会長兼最高経営責任者(CEO)のマシュー・シェイ氏は「年末商戦期間をとても良いかたちで終えることができた。今後を考える上で前向きな兆候だ」と話している。

今回の結果は、NRFが予測していた7,279億~7,307億ドル(前年同期比3.8~4.2%増、2019年10月16日記事参照)ともおおむね一致しており、NRFチーフエコノミストのジャック・クラインヘンズ氏は「後半にかけて減速した2018年と比べて、良い年末商戦だった」と述べた。特に、2019年の感謝祭は11月28日と前年(11月22日)より6日遅く、「年末商戦全体の期間が短かったことに加えて、対中追加関税による下押し圧力などが懸念された中で、良好な雇用・所得環境や家計のバランスシートを背景に、消費者は自らの購買力(が落ちていないこと)に自信を持っていたに違いない」と指摘した。

業種別には、ネット販売を含む無店舗小売りが前年同期比14.6%増の1,678億ドルと引き続き好調で、事前予測の1,628億~1,669億ドル(11.0~14.0%増)を上回る伸びとなった。米経営コンサルティング大手A.T.カーニーの消費者行動プリンシパルのマイク・サンソーン氏は、ネット販売が拡大し続ける中で、消費者は「これまでネット購入に適しているとは考えていなかった分野でもネット購入を好む」ようになっており、購買行動が変化しつつあると分析した(「リテール・タッチポイント」1月7日)。例えば、2019年の年末商戦期間におけるネット販売では、衣類(前年同期比17%増、マスターカード調べ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の購入が最も大きく伸びており、従来多かった電気機器分野にとどまらず、消費者が幅広い分野でネット購入に慣れてきていることを表しているとしている。

ネット購入の増加傾向が続く中で、物流にも大きな負荷がかかった。米国物流大手フェデックスの社長兼最高執行責任者(COO)のラジェシュ・スブラマニアム氏は、2019年は年末商戦期間が前年より短かったこともあり、ネット販売のセール日とされる「サイバーマンデー」の荷物量は1日で3,800万個と、予想(3,300万個)を大きく上回る歴史的な高水準だったと述べた(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版12月25日)。

(樫葉さくら)

(米国)

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