年末商戦の米小売売上高、前年同期比3.8~4.2%増の見通し

(米国)

ニューヨーク発

2019年10月16日

全米小売業協会(NRF)は10月3日、2019年の年末商戦期間(11~12月、注)における小売売上高(自動車ディーラー、ガソリンスタンド、レストランを除く)の見通しを発表し、前年同期比3.8~4.2%増の7,279億~7,307億ドルになる外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとした。2018年の同期間の2.1%増(7,012億ドル)や、過去5年間の平均(3.7%増)を上回る見通しとなっている。

特にネット販売を含む無店舗小売りは、前年同期比11~14%増の1,626億~1,669億ドルと、2018年の1,465億ドルを大きく上回ると予想。同期間の臨時雇用者数は、2018年が55万4,000人だったところ、2019年は53万~59万人に達する見込みとした。

NRFのチーフエコノミストであるジャック・クラインヘンズ氏は「予測を困難にする変動要因や阻害要因はたくさんある」ものの、雇用者数の増加や賃金の上昇といった「最近の経済データや経済の趨勢(すうせい)からみて、(家計の財務状況は良好であり)前年よりも力強い年末商戦になることが期待される」と述べた。一方で、NRFの会長兼最高経営責任者(CEO)のマシュー・シェイ氏は「貿易や金利、世界的なリスク要因、政治的レトリックといった問題をめぐる不確実性によって、明らかに(個人消費は)減速」しており、これら要因の「悪化が続くと、消費マインドが侵されていく可能性がある」と指摘した。

対中追加関税リスト4Aに掲載された一部の衣服や履物、テレビなどは既に9月1日以降、15%の追加関税が課されている。また、リスト4Bの携帯電話やパソコン、ビデオゲーム機などは12月15日以降、同様に15%の追加関税が課される予定となっている(2019年8月14日記事参照)。これまでのところ、個人消費や消費者物価などに目立った影響はみられていないものの、NRFが9月に消費者向けに実施したアンケート調査によると、79%が追加関税による商品価格の値上がりを懸念していると回答し、消費行動に影響するとみられる。

(注)米国では11月第4木曜日の感謝祭の翌日からクリスマスまでの約1カ月間、クリスマスプレゼントの購入などで小売り販売が大きく伸びる傾向にある。この時期は各小売店もセールを行うことから年末商戦と呼ばれ、動向が注目される。最近では、セール期間の前倒しやクリスマス後も年末までセールが続けられることから、11~12月を年末商戦期間とすることが多くなっている。

(樫葉さくら)

(米国)

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