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2019年の正規雇用創出、過去10年間で最低の34万2,000人

(メキシコ)

メキシコ発

2020年01月20日

メキシコ社会保険庁(IMSS)は1月12日、2019年の民間部門の正規労働者の増加数を過去10年間で最低の34万2,077人と発表した。2019年1~9月の経済成長率は前年同期比0.0%のゼロ成長となり(2020年1月6日記事参照)、景気低迷の中で企業が雇用を増やせない状況がみられる。過去12カ月間の正規雇用創出を2014年以降で比べてみると、2018年5月には86万人の雇用増があったが、2018年12月のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール政権発足後は急速に減少し、2019年末には34万人の水準まで低下している(図参照)。

図 社会保険庁(IMSS)加入労働者の増減の推移

なお、2019年末時点の福利厚生費を含む正規労働者の平均賃金は日給378.1ペソ〔約2,231円、1ペソ=約5.9円(最低賃金102.68ペソの約3.7倍)〕で、前年末比6.7%上昇した。同期間のインフレ率が2.83%だったため、実質賃金は大きく上昇した(表参照)。ただし、最低賃金の上昇率(16.21%)よりは低く抑えられている。現政権で正規労働者の賃金は上昇したものの、雇用創出が例年より極端に小さいため、国民全体の購買力向上にはつながっていない。

表 法定最低賃金上昇率、平均賃金上昇率、インフレ率の推移

若者の就労対策プログラムの成否がカギ

過去5年間の経済活動人口の増加をみると、メキシコでは毎年80万人前後が労働市場に参入している。正規雇用の増加がそれよりも少ない場合、失業者が増えるか、非合法な就労形態で働くインフォーマル労働者を増やす結果となる。直近の完全失業率をみると、2019年11月時点で3.44%と、前年同月(3.26%)に比べて特に大きく上昇しているわけではない。就業人口に占める社会保険登録がない非合法な就労形態の労働者の比率を示すインフォーマル就労比率(TIL)も、2019年11月に56.07%と依然として高いが、前年同月の57.23%からむしろ下がっている。

現時点で雇用環境が大きく悪化していない背景には、現政権が導入した未就学・未就労の若者に対する研修奨励金支給プログラム(2019年1月18日記事参照)がある。労働社会保障省によると、2019年末時点で既に約90万人の若者が実務研修生として企業や団体で働いており、これらは正規雇用ではないものの、失業者やインフォーマル就労者としてカウントされない。

ただし、このプログラムで政府の補助が受けられるのは最長1年間で、1年後には受け入れ企業が正規採用するかしないかを決定する。給与負担がないために研修員を受け入れている企業もあると思われ、多くの職場が1年経った後に研修員を正規採用しなかった場合、失業者として労働市場に流れ込むことになり得る。逆に、多くの職場が正規採用を決定した場合、正規雇用が今後増えていくため、同プログラムの成否に注目が集まる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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