チュニジア議会、ジェムリ新内閣に不信任決議

(チュニジア)

パリ発

2020年01月16日

チュニジア議会で1月10日、ジェムリ内閣の信任投票が行われた。全209票のうち、不信任134、信任72、棄権3で内閣は不信任となった(チュニジア国営通信社「TAP」1月11日)。2019年10月の国民議会選挙(2019年10月23日記事参照)ではイスラム穏健派のアンナハダ党が第1党となり、その推薦を受けてハビブ・ジェムリ氏が首相に任命され、1月2日に新内閣の顔ぶれを発表したばかりだった。

内閣不信任を機に、国民議会選挙と同時に行われた大統領選挙で2位につけたナビル・カルウィ氏を党首とする第2党のカルブ・トゥネス(38議席)と、ユセフ・シャヘド前首相が率いるタハヤ・トゥネス(第7党、14議席)などの中道を中心に、複数の左派政党、無党派議員が反アンナハダ勢力として結集し、94議員による政治連合が形成された。第1党ながら52議席にとどまり、他党からの支持を得られなかったアンナハダ党の敗北というかたちになった。

議会によるジェムリ内閣不信任という結果に対し、チュニジア工業・商業・手工業連盟(UTICA)は1月11日、「これまで積み上げてきたチュニジア民主主義が健全に機能した結果」と評価した。現在、同国が直面している経済・社会的課題を解決するためには、政治派閥を超えた、独立した内閣の人選が必要と強調した(チュニジア国営通信社「TAP」1月11日)。

与党推薦の内閣が不信任となったことに伴い、次期の首相指名は無党派のカイス・サイード大統領に委ねられ、10日以内(1月20日まで)に首相が指名される予定だ。その後、新首相は1カ月内に組閣し、議会の信任投票を受ける。内閣がまたも不信任の場合は、議会解散となり、国民議会選挙のやり直しになる。

2011年のジャスミン革命の引き金となった、内陸部の経済問題は依然として未解決のままだ。9周年に当たる1月14日には、チュニジア労働総連(UGTT)のデモが首都チュニス市内で行われた。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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