連邦調停労働登録センター創設法を公布、労働法改正の一環

(メキシコ)

メキシコ発

2020年01月16日

連邦調停労働登録センター創設法(Ley Orgánica del Centro Federal de Conciliación y Registro Laboral)が1月6日、メキシコ労働・社会保障省(STPS)によって官報公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされ、翌日施行された。同法は2019年5月2日に施行された改正連邦労働法に基づく一連の制度改革の1つで(2019年5月7日記事参照)、政府と行政から独立した機関である連邦調停労働登録センター(CFCRL)を創設するというもの。創設時期は2020年第4四半期で、メキシコ32州中のうち10州から導入される。

CFCRLは、労働裁判制度と労働組合制度の両方の改革に関わる機関となる。現行の制度では、労使間の紛争解決の仲介および仲裁者は、行政機関〔労働調停仲裁委員会(JAC:Juntas de Arbitraje y Conciliación)〕によって行われているが、新制度では独立行政機関(CFCRLと州調停センター)および司法機関(連邦・州労働裁判所)へと変更されることが最も大きな特徴だ。連邦レベルの案件ではCFCRLが最初に調停を行い、CFCRLで解決できない場合、今後創設される連邦労働裁判所で裁判が行われることとなる。

また、労働組合と労働協約の登録に関しては、現制度では連邦レベルと州レベルのJAC(それぞれJFACとJLACという)が登録先となっているが、CFCRLの設立後は、連邦・州のどちらもCFCRLが登録先となる(表参照)。

表 紛争調停手続きと労働組合・労働協約登録制度の実施機関の対比

更改済み労働協約の登録先はCFCRLに

改正連邦労働法の付則第11条は、施行日から4年以内に、少なくとも1度は労働者の意見を民主的に反映させた労働協約へ更改することを義務付けている。その更改済み労働協約の登録先がCFCRLとなるが、CFCRLの設立には改正法施行日から2年の移行期間が設けられているため、STPSは2019年7月、CFCRLの運営開始前の暫定措置として、登録先をSTPSにすると官報公示している(2019年8月5日記事参照)。なお、4年以内に1度も既存の労働協約が更改されなかった場合、同協約自体が失効したものとみなされてしまうため、注意が必要だ。

(志賀大祐)

(メキシコ)

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