2018年の食糧自給率は79%で前年比7ポイント減少、供給熱量は5%増加

(フィリピン)

マニラ発

2020年01月07日

フィリピン統計庁(PSA)は12月13日、2018年のフィリピンの食糧自給率は79.43%で、2017年の86.80%から7.37ポイント減少したと発表した。PSAは理由として、特に穀物と肉類の輸入依存度が上昇した点を挙げた。一方で、野菜と魚介類の輸入依存度は減少した。

2018年の国民1人当たりの供給熱量は2,445.42キロカロリーとなり、2017年の2,334.84キロカロリーから4.74%増加した。1人当たりの供給熱量は、科学技術省(DOST)所管の食糧栄養研究所(FNRI)が2013年に発表した必要量1,811キロカロリーの1.35倍に当たり、PSAは十分な量の食糧が国内生産と輸入によって供給されているとした。栄養素別にみると、2018年の脂肪の1人当たりの供給量は1日当たり60.07グラムとなり、2017年の54.23グラムから10.77%増加した。たんぱく質は同78.71グラムで、2017年の76.40グラムから3.02%増加した。

フィリピンでは近年、肥満などに起因する生活習慣病が社会問題となっており、死因の上位では、虚血性心疾患や高血圧性疾患、糖尿病などが多い。ドゥテルテ大統領は2018年1月、生活習慣病の予防を目的に、それまで非課税だった加糖飲料に物品税を導入。高果糖コーンシロップ(HFCS)を含む飲料には、1リットル当たり12ペソ(約26.4円、1ペソ=約2.2円)、HFCS以外の甘味料を使用した飲料は6ペソを課している。一方で、貧困による栄養失調も問題となっており、国連児童基金(ユニセフ)は10月、フィリピンの栄養失調による経済損失がGDPの3%に当たる年間約45億ドルに上り、子供の30.3%が発育不良の状態にあると発表した(2019年10月31日記事参照)。世界銀行は10月14日、1日当たりの収入が3.2ドル以下の国民の割合を示す貧困率について、フィリピンは2019年に20.8%とする調査レポートを発表した(2019年10月29日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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