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年金改革でフランス政府が譲歩、「均衡年齢」の撤回を示す

(フランス)

パリ発

2020年01月22日

フランスのエドアール・フィリップ首相は、労使団体宛て1月11日付書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)において、年金改革の一環として2022年から導入し2027年までに段階的に引き上げる予定だった「均衡年齢(un âge d’équilibre)」を設定する措置(2019年12月13日記事参照)を撤回する意思があることを表明した。設定する「均衡年齢」より早く退職する場合は受給額を減額し、遅く退職する場合は受給額を増額する措置を、政府は財政均衡に向けた改革案の柱としてきた。

同首相は、労組の「均衡年齢」の導入に対する反発を考慮し、「労使への信頼を示す」として、2027年までに年金財政の赤字(推定120億ユーロ)を解消するための短期的措置としての均衡年齢の代替案を共同で提案するよう労使に要請した。

政府は具体的には、代替案の協議を含め、年金制度の長期的な拠出金の財源および国との財政的関係について勧告を策定するための機関として、労使、政府、会計検査院の代表による「年金の均衡と財政に関する協議会」を設置する。

フィリップ首相は、同協議会が、2020年夏の法案成立に向けて4月末までに労使間の合意による代替案を策定した場合、その内容をオルドナンス(注)として法律に盛り込むとした。しかし合意に至らない場合は、「2027年の財政赤字解消に向けて政府が必要な措置を取る」と明言。また、均衡年齢の代替案は、「年金生活者の購買力の低下につながる年金の減額や労働コストの引き上げにつながるものであってはならない」と条件を付けている。

ただし、「均衡年齢」措置の撤回は暫定的といえ、最終的に一本化する年金システム(1975年以降に生まれた人を対象に2037年から開始)において、「均衡年齢」を導入する方針は変えていない。

年金改革に反対して、2019年12月5日から始まったパリ交通公団(RATP)やフランス国鉄(SNCF)のストが長期化する中、政府は「均衡年齢」措置を撤回することでストの収束を図りたい意向だ。政府の新たな提案に、「均衡年齢」措置に反対している最大労組で改革派のフランス民主労働総同盟(CFDT)は1月12日に「良い方向への最初の一歩」と歓迎する声明を出した。他方、フランス労働総同盟(CGT)は、1月11日付「ル・モンド」紙によれば「改革案を撤回させるためのさらなる決意」を表明した。

1月11日には、労組の呼び掛けによる年金改革の反対デモがフランス各地で行われ、内務省の発表によると14万9,000人(CGTの発表によると50万人)が参加したと多数のメディアで報じられた。抗議活動は今後も続く見込みだ。

(注)オルドナンス:憲法第38条に定められた政府の委任立法権限に基づく法規。政府はオルドナンスの概要を定めた授権法案を国会に提出し、可決された場合、オルドナンスの形式により法律を制定することができる。

(奥山直子)

(フランス)

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