年金改革の政府案を発表、スト長期化の懸念強まる

(フランス)

パリ発

2019年12月13日

フランスのエドアール・フィリップ首相は12月11日、年金制度に関する政府の具体的な改革案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。国鉄職員や教員など職種ごとに分かれた42の特別制度を徐々に廃止し、年金支給額の算定方法を現行の拠出期間の四半期数からポイント制へ変更し、一元化する方針(2019年9月24日記事参照)をあらためて示した。

新制度は1975年以降に生まれた人を対象に、2025年から徐々に適用される(1975年以前に生まれた人は現行制度をそのまま適用)。ただし、2004年以降に生まれた人は2022年で新制度に切り替える。保険料は年収12万ユーロまで一律28.12%。12万ユーロを超える部分については連帯拠出金として2.81%が徴収される。

定年退職の年齢については、現行の62歳を維持しつつも、年金財政の均衡に向け、より長く働くことを奨励する措置として「均衡年齢(un âge d’équilibre)」を設定し、これより早く退職する場合は受給額を減額し、遅く退職する場合は増額する仕組みを導入する。労組側の要求に応じ、導入時期を当初予定していた2025年ではなく、2022年からとするとともに、均衡年齢は導入時の62歳4カ月から毎年4カ月ずつ段階的に引き上げ、2027年に64歳に設定するとした。

首相はこのほか、拠出期間が十分な場合の年金の最低支給額(MICO)を2022年に一律1,000ユーロに設定するとした。さらに、労働の過酷さを反映した早期退職制度の公的部門への適用拡大、子供の数に応じて年金支給額を増額する措置の導入などを約束した。

これに対し、最大労組のフランス民主総同盟(CFDT)は、64歳とした「均衡年齢」の導入に反発、改革案の見直しを求め、12月17日に予定されている抗議活動に合流することを12月11日に発表した。CFDTはポイント制の年金改革には好意的で、改革案の撤回を求める労働総同盟(CGT)、労働者の力(FO)が12月5日から実施しているスト(2019年12月10日記事参照)に参加していなかった。今回、CFDTが合流を決めたことで、公共交通機関を中心にストが長期化、深刻化する懸念が強まった。

フィリップ首相は11日、労働の過酷さを考慮する措置の見直しなどについて交渉の余地があるとし、労組にさらなる協議とスト中止を呼び掛けた。政府改革法案は2020年1月末に閣議に提出され、2月末に下院で審議が始まる予定。政府は2020年夏までに改革法案を成立させたい考えだ。

(山崎あき)

(フランス)

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