シダマ郡、州への格上げ問う住民投票で賛成多数

(エチオピア)

アディスアベバ発

2019年12月12日

エチオピア国家選挙委員会は12月4日、南部諸民族州シダマ郡の州への格上げを問う住民投票(2019年11月13日記事参照)の最終結果を発表し、賛成は97.7%だった。投票者登録をした230万4,577人のうち227万9,022人が投票した。11月20日の住民投票は大きな混乱なく実施され、23日には賛成98.5%という暫定結果を発表していた。最終結果との差は、投票所で確認された規則違反を反映したもの。投票所1,861カ所のうち233カ所で違反があり、そのうち164カ所で結果が無効とされた。

郡から州への格上げを支持する結果となったが、この先の日程は不明のままだ。州境など土地の帰属、各州への補助金配分などの議論はこれからだ。州は憲法で規定されているため、憲法改正作業も必要となろう。州の行政機構の立ち上げには、議会の設置だけでなく、警察を含む治安部隊の創設、シダマ語での授業要領の作成を含む教育制度の検討など、広範な制度整備が必要になる。

これら準備作業に主導権を発揮する政治勢力も不透明だ。南部諸民族州の与党・南エチオピア人民民主運動(SEPDM)にはシダマ族の党員もいるが、同党は新たに与党連合が設立を決めた「繁栄党(PP)」への合流を決めている(2019年12月9日記事参照)。繁栄党は民族主義的な考えを排して、1つのエチオピアとして国がまとまることを旗印としている。特定の民族が要求する州への格上げで中心的作業を担えば、国民の統合と矛盾するとの指摘も受けかねない。他方で、2020年5月に予定する国政選挙を見据えて、与党としては新たな州で支持を得るためにも関与は不可欠との見方もできるだろう。

(関隆夫)

(エチオピア)

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