シダマ郡の州への格上げを決める住民投票、11月20日に実施

(エチオピア)

アディスアベバ発

2019年11月13日

エチオピア南西部の南部諸民族州で、シダマ族が同州内のシダマ郡の州への格上げを求め、11月20日に住民投票が実施される。7日から10日間の予定で投票者登録が始まっており、当日には約1,800カ所の投票所が設けられる予定だ。南部諸民族州には、工業団地整備を進めるエチオピア政府が成功例とするハワッサ工業団地もあり、住民投票の実施日前後から現地への渡航には細心の注意が必要だ。

エチオピアには、2つの特別行政都市(アディスアベバとディレダワ)のほか、9つの州がある。シダマ族は、南部諸民族州の中で2割ほどを占め、州内の最大勢力とみられている。以前から州格上げを求めるシダマ族の声は強かったものの、住民投票は今回が初めてとみられ、現政権が進める民主化の進展として前向きな評価もできるだろう。

当地では一般に世論調査が行われないため、住民投票の動向予測は難しい。仮に新たな州として認められる場合、多くの協議が必要な事項が出てこよう。例えば、州の境界をどこにするかといった事項は、土地問題と絡む繊細な問題だ。ハワッサは州都として多民族が共生しているが、州内最多の人口を抱えるシダマ族には、シダマの土地といった感覚があるとされる。また、連邦政府は地方交付金のようなかたちで各州に補助金を分配しており、慎重な対応が迫られる問題は多い。投票結果が他民族の住民投票実施を求める運動へと連鎖的に影響する可能性もあり、その試金石としても20日の住民投票は注目される。

(関隆夫)

(エチオピア)

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