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英国議会の女王演説、内政・外交方針はリベラル寄りに

(英国、EU)

ロンドン発

2019年12月20日

下院総選挙を経て招集された英国議会で12月19日、慣例により、エリザベス女王が政府施政方針について演説した。2020年1月末に英国のEU離脱(ブレグジット)を実現させることを強調。一方で、総選挙でも大きな争点となった国営医療サービス(NHS)や治安対策などに加え、気候変動対策や労働環境の改善など、リベラル寄りの政策も目立った。

前回の女王演説は、10月14日に行われたばかり(2019年10月15日記事参照)。今回も冒頭でブレグジットについて言及し、ボリス・ジョンソン政権が最も重視していることを示した。離脱後は、EUとの自由貿易協定(FTA)に加え、ほかの主要国とも通商交渉を始めると表明。与党・保守党は総選挙のマニフェスト(政権公約)で、米国、オーストラリア、ニュージーランド、日本を優先国に挙げている。政府はEUとの通商交渉と並行して、これらの国と交渉を進める考えだ。

内政では、前回と同じく、NHSや治安対策などに重点を置いた。NHSでは新たに今回、医師や看護師などへの特別ビザ発給により、医療従事者を安定的に確保すると表明。また治安面では、11月29日にロンドン中心部で発生したテロ事件を受け、重犯罪者の拘禁期間を長期化する法改正に言及するなど、情勢変化や総選挙を踏まえた新方針も示している。

さらに今回は、柔軟な雇用形態の促進や人権などを重視した外交など、従来、最大野党・労働党が重視してきた政策に近い内容も盛り込まれた。環境関連でも、前回ほとんど触れずに緑の党などが批判していた気候変動について、温室効果ガス純排出ゼロ(2019年6月13日記事参照)に向けた取り組みなどが盛り込まれた。反対に、インフラ投資などに関する言及は減った(表参照)。

リベラル色が増した背景には、総選挙で労働党から議席を奪取した選挙区などで保守党への支持を定着させ、長期にわたって地盤を固めたいという思惑もありそうだ。ジョンソン首相は議会答弁で、今回の女王演説を「近年で最も急進的」と形容したが、労働党が党大会や選挙戦を通じて繰り返していたのが「急進的」というキーワードだ。同党のジェレミー・コービン党首は「この女王演説で政府は、労働党の幾つかの優先的政策と、興味深いことに多くの言い回しを模倣しようとしたが、中身が伴っていない」と述べ、政府を批判している。

ジョンソン首相は12月18日、全閣僚に対し、2020年1月にスイス東部ダボスで開催される世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に参加しないよう指示した。富豪らが多く集まる同会議に参加するより、労働者ら一般国民のための仕事に集中すべきというのが狙いだ。

総選挙からわずか1週間。再出発したジョンソン政権は、早くも長期政権に向けた支持固めに余念がない。

表 女王演説で示された政府の主な方針

(宮崎拓)

(英国、EU)

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