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2050年までにGHG純排出ゼロの野心的目標を法制化へ

(英国)

ロンドン発

2019年06月13日

テレーザ・メイ首相は6月12日、2050年までに温室効果ガス(GHG)の純排出をゼロにすることを発表した。英国の長期的な排出削減目標については、2008年の気候変動法によって2050年までに1990年比で80%削減することが法制化されているが、英国政府は本法制を修正するかたちで、さらに野心的な目標を打ち出した。今回の目標の法制化が実現すれば、G7でも初めてとなる。

この目標の実現に伴って生ずる経済的な負担について、諮問機関である気候変動委員会(CCC)は5月に、目標水準を引き上げたとしても、電気自動車(EV)や洋上風力発電など環境型技術のコスト低減によって経済的負担は変わらないという見解を示していた(2019年5月15日記事参照)。一方で、フィリップ・ハモンド財務相は、1兆ポンド(約137兆円、1ポンド=約137円)の負担増につながり、国民保健サービス(NHS)や学校教育など公共サービスへの予算削減につながると懸念を示していた。

今回の発表では、メイ首相が「われわれは世界がよりクリーンかつグリーンな成長を遂げることを主導しなければいけない」とコメントしたほか、グレッグ・クラーク・ビジネス・エネルギー産業戦略相も国際的なリーダーシップを維持するために本法制化に着手したと述べ、環境戦略が経済に好影響を与えることを強調している。環境目標で先行することで、クリーン技術を国内の主要産業に育て、経済の柱の1つにすることを狙う。

排出目標の引き上げに対しては、野党・労働党も法制化を歓迎するとしており、産業団体からも賛同の声が上がる。英国産業連盟(CBI)は支援を表明し、経済の脱炭素化を支える長期的な政策支援を求めている。また、英国商工会議所(BCC)も賛同しつつ、経済成長や投資を抑制しないために、政府が脱炭素化に移行に当たり、企業を支える必要があるとしている。政府は今回の発表の中で、他国が英国と同様に野心的なアクションをとるか見極めつつ、英国の主導的な影響力を強化し、かつ、自国の産業が不利な競争状態に置かれないよう、今後5年以内に精査を行うとしている。

(木下裕之)

(英国)

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