中国の信頼度が21%に低下、米国80%と最も高率、日本は56%

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月03日

フィリピンの民間調査会社ソーシャルウエザーステーションズ(SWS)が11月20日に発表した調査(2019年9月時点)結果によると、中国を信頼していると回答したフィリピン国民の割合は21%で、6月に実施された前回(27%)から6ポイント低下した。また、ドゥテルテ政権が始まった2016年6月以降では、18%を記録した2018年6月に次いで2番目に低い水準となった(図参照)。

図 中国、米国、日本を信頼していると回答したフィリピン国民の割合

サルバドール・パネロ大統領報道官は、中国への信頼度が21%と低い結果になった点について、昨今の南シナ海をめぐる中国との領土問題が、フィリピン国民の中国に対する信頼度をますます低下させている点は納得できるとした。一方で、フィリピンが貧困から脱却するためにも、中国をロールモデルとして政権運営の参考にする必要があるとした。

ドゥテルテ大統領と中国の習近平国家主席の8月29日の首脳会談(2019年9月5日記事参照)において、南シナ海の領有権をめぐる2016年のハーグ常設仲裁裁判所の中国側主張を退ける判決を無視することを条件に、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内のリード礁周辺の海域におけるガス共同開発の権益の60%をフィリピンに譲渡し、中国側が40%を保有するという提案を中国が提示した直後に、今回の調査が実施されたことも影響したとみられる。

調査対象となった6カ国(中国、米国、日本、オーストラリア、シンガポール、ベトナム)の中で、最も信頼度が高かったのは米国(80%)で、2010年6月以降、米国は70%以上の信頼度を保っている。日本は信頼度が56%で、6カ国中2番目に高い数字となった。以下、オーストラリア(54%)、シンガポール(48%)、ベトナム(31%)、中国(21%)と続いた。

今回の調査は9月27日から30日まで、全国の18歳以上の1,800人を対象に面談方式で実施された。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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