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再エネ発電施設への助成制度を改正

(スペイン)

マドリード発

2019年12月06日

スペインで、再生可能エネルギー発電助成制度の改正法(勅令法17/2019外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が11月23日に緊急施行され、27日に下院で追認された。

発電プラントへの助成目安となる利回り上限は7.09%に

スペインは1998年に、再生可能エネルギー電力買い取り制度を導入し、風力や太陽エネルギー発電分野で世界有数の再生可能エネルギー大国になったが、その原動力の手厚い助成金はブームの過熱を招き、肥大した助成コストにより電力システムは財政破綻寸前となった。2013年7月に、ラホイ民衆党(PP)政権(当時)が既存プラントに対する電力買い取り制度を廃止し、自由市場での売電を前提とした現行の助成制度に移行した(2014年1月10日記事参照)。

現行の制度は、標準的な発電設備の運転・投資コストと自由電力市場での売電価格の差額を助成金として耐用期間にわたり支払う形式。当初6年間(2014~2019年)は、投資の利回りの上限として、スペイン10年物国債平均利回りに3ポイントを上乗せした指標(直近ではプラントの申請形式により7.398%または7.503%)を設けた。

助成制度は6年ごとに見直されるが、暫定政権のため議会での立法手続きが遅れたことから、法的安定性を確保すべく今回の緊急立法となった。2020~2025年に適用される投資利回りの上限は7.09%となる。従来の利回りより引き下げられたが、低金利の中、国債利回りを基準とした従来の算定方法だと4.7%と大幅に低下するため、政府としては可能な限り高い助成レベルを確保したかたちだ。テレサ・リベラ環境移行相は「2013年の助成ルール改正で失われた投資家からの信頼を回復しなければならない」と説明した。

係争を取り下げる事業者に長期の高利回りを保証

再生可能エネルギー発電事業には、国内企業だけでなく、多くの外国企業や銀行、ファンドが参入していた。こうした外国企業の多くは、2013年の制度変更で電力買い取り制度が遡及(そきゅう)的に廃止され、投資額が回収できず大きな損害を被ったとして、スペイン政府を相手取り、国際投資仲裁手続きを申し立てている。

今回の助成制度改正では、当時の変更の影響を受けた事業者に対し、係争をしないと確約、あるいは係争の取り下げや、裁定で獲得した損害賠償請求権の放棄をすれば、従来と同じ水準の利回り(7.398%)を2020年から2031年までの12年間にわたり維持すると定めている。

当地の複数の報道によると、政府は通算45件、賠償請求額80億ユーロ近くに上る仲裁案件を抱えている。うち約10件は既に裁定が出ており、エネルギー憲章条約(ECT)の投資家保護条項に基づき外国企業側が勝訴しており、最終的な賠償命令額は請求額の半分程度となっている。政府は本件をEU法の管轄下にある裁判所で裁定すべきとして、仲裁の無効化を主張している。

スペインにとっては賠償額の問題だけでなく、エネルギー移行を控え、今後多大な再生可能エネルギー投資を必要とする中、外国投資家からの不信感が払拭(ふっしょく)できない状態は極めて深刻で、政府は今回の制度改正を通じて、投資家との和解を試みているとされる。

なお、2020~2025年に新規稼働する再生可能エネルギー発電施設の助成算定基準は、2020年2月29日までに承認される予定。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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