電子決済大手ペイマヤ、2023年に年間決済額1兆ペソ、ユーザー4,000万人へ

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月09日

電子決済サービス国内大手のペイマヤ・フィリピンズは、2023年までに年間決済額が現在の5倍以上の1兆ペソ(約2兆1,000億円、1ペソ=約2.1円)、ユーザー数は4,000万人に達する見込みと発表した。ペイマヤ・フィリピンズの親会社は、フィリピン国内通信大手PLDTの傘下で、中国の騰訊(テンセント)や米国の投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、国際金融公社(IFC)などから出資を受けているボイジャー・イノベーションズだ。

ボイジャー・イノベーションズは、電子マネーやデジタル決済に関連するサービスを提供する会社で、2018年、テンセント、KKR、IFCなど海外投資家から2億1,500万ドルの資金を調達した。ペイマヤ・フィリピンズのパオロ・アゾッタCOO(最高執行責任者)は地元メディアに対して、現在も複数の投資家から投資のオファーが来ている、とコメントした。また、フィリピン国内の商取引の99%は非デジタル決済、非電子決済で行われているとした上で、「2015年に事業を開始したペイマヤの現在の年間決済額は200億ペソにすぎないが、フィリピンは既に人口1億1,000万人、GDP3,000億ドルに達しており、今後10年から15年で急速に経済は発展し、世界でも上位の経済大国となる」とし、決済ソリューションや金融サービスに対する需要は大きく拡大するとの考えを示した。

フィリピンの電子決済大手は、ペイマヤ・フィリピンズに加えて、中国のアリババ傘下のアント・フィナンシャルサービスグループと提携し、フィリピン国内で電子決済サービス「Gキャッシュ」を提供する、フィリピンの大手財閥アヤラ系列のグローブ・フィンテック・イノベーションズ(ミント)や、東南アジア最大手のライドシェアのグラブが手掛ける「グラブペイ」がある。

ペイマヤ、Gキャッシュなどのフィリピンの電子決済サービスは、銀行口座を持たない層に対して公共料金の請求書支払いサービスを提供する。フィリピンでは銀行口座を保有する世帯が25.1%、貯蓄をする世帯が37.5%と低く(2019年9月30日記事参照)、保険契約やローン契約の際の与信管理が困難なため、適切な金利での融資を受けることができず、高利貸しから借金をする貧困層が存在する。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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