ドゥテルテ大統領、電子たばこの輸入と公共の場での使用禁止を発表

(フィリピン)

マニラ発

2019年12月02日

ドゥテルテ大統領は11月19日、電子たばこのフィリピンへの輸入と、フィリピン国内の公共の場所での使用を禁止する大統領令を、近日中に発出すると発表した。11月20日付の地元各紙が報じた。

ドゥテルテ大統領は地元メディアに対して、国民の健康と利益を守るためにも公共の場での電子たばこは禁止されるべきだとし、既に各当局に対して公共のスペースで電子たばこを使用する者を逮捕するよう命令したと説明した。発表の数日前に、国内初の電子たばこの利用が原因とされる肺疾患の発生が確認されたことが背景にあるとみられる。フィリピン保健省によると、フィリピン国内には約100万人の電子たばこの使用者が存在する。

ドゥテルテ大統領は2016年の就任当初から、たばこの使用を制限するさまざまな政策を打ち出している。2017年には、公共スペースでの喫煙を禁止する大統領令を発出。2018年1月には、それまで1箱当たり30ペソ(約63円、1ペソ=約2.1円)だったたばこ製品の物品税を、2018年1月~6月末は32.5ペソ、7月~2019年末は35.0ペソ、2020年1月~2021年末は37.5ペソ、2022年1月~2023年末は40.0ペソとし、2024年以降は毎年4%ずつ引き上げる税制改革法第1弾(TRAIN1)を施行(2018年3月27日記事参照)。そして現在は、電子たばこ1箱につき45ペソから60ペソの物品税を課す法案を国会が審議中だ(2019年11月21日記事参照)。これらの背景には、2019年2月にドゥテルテ大統領が署名したユニバーサルヘルスケア法があり、フィリピンの全国民をフィリピン医療保障公社(フィルヘルス)の健康保険に加入させ、国民皆保険制度(ユニバーサルヘルスケア)を実現しようとしており、その財源を確保する必要があるとみられる。

なお、フィリピンではドゥテルテ大統領の就任以前からたばこの広告が禁じられており、たばこ製品のパッケージに、たばこの健康への悪影響をグラフィックで説明することを義務化する法律がある。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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