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EUから英国への移民、2013年以来最低に

(英国)

ロンドン発

2019年12月09日

英国の国民統計局(ONS)は11月28日、2018年7月1日から2019年6月31日までの1年間の移民統計(注1)を発表した。この期間に新たに国外から英国に流入した移民は60万9,000人、流出した移民は39万7,000人で、純移民流入は21万2,000人となった(図1参照)。これをEUとEU域外に分けてみると、EUからの純移民は4万8,000人、EU域外からの純移民は22万9,000人だった。EUからの移民流入は2013年以来最低に落ち込み、この結果、流入から流出を差し引いた純移民数は4万8,0000人とデータが取得できる2009年以降で最低記録を更新した。

また、英国籍者の転入から転出を差し引いた純移住はマイナス6万5,000人となった。EU域外からの移民数は緩やかな増加傾向にある一方、英国籍者の流出が続いている。

図1 英国に流入・流出する移民数の推移

EUからの流入移民数は、EU離脱を問う2016年6月の国民投票を境に減少傾向に転じた。2016年6月末までの1年間に28万4,000人でピークだった流入者数は、2019年6月末までの1年間では19万9,000人と、2013年6月末の統計以降初めて20万人を割り込んだ。一方、流出数は2016年9月末の統計以降、10万人を超えるようになり、当期は15万1,000人に達した(図2参照)。

図2 EU移民数の変化

近年のEU労働者の急速な減少傾向に対して、英国産業連盟(CBI)は繰り返し懸念を表明している。マシュー・フェル政策責任者は11月28日、「タイムズ」紙に寄稿、移民が英国の公共サービスや民間企業に果たしてきた貢献を挙げ、政府が2021年から導入の意向を示している新移民管理制度(2018年12月20日記事参照)について、「優秀な人材だけを優遇するのは誤り」と述べ、新制度が教育界や産業界にとって有用なものになるよう要望している。

12月12日の総選挙を控えて、年間の純移民者数10万人の目標を掲げる保守党は移民政策の徹底強化を訴えており、プリティ・パテル内相は12月1日、保守党が選挙に勝利してEUから離脱すれば、EUとの「人の移動の自由」を即刻停止するだけでなく、米国同様の電子渡航認証〔Electronic Travel Authorisation(ETA)〕(注2)を導入し、EUや英連邦(コモンウェルス)から英国への入国者も登録義務の対象とすると述べている。EUもシェンゲン圏において、EU域外のビザが免除されている国を対象に、同様の制度〔欧州渡航情報認証制度(ETIAS)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕の2021年中の運用開始を予定しており(2018年7月9日記事参照)、英国市民もEU離脱後はシェンゲン圏への渡航で同システムへの申請が必要となる見込み。

(注1)「移民(migration)統計」という名称だが、総数には英国籍者の移住(転出、転入)も含まれる。

(注2)入国に当たりビザ取得が免除されている者を対象に、渡航前に電子上の登録を義務付け、事前の審査を行うシステム。

(岩井晴美)

(英国)

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