ジェトロ、日系企業向けに企業税制に関するセミナーをパリで開催

(フランス)

パリ発

2019年12月05日

ジェトロは11月19日、在フランス日系企業向けに「企業税制とインセンティブ」をテーマとするセミナーをパリで開催した。フィダル法律事務所のボノ弁護士が、日系企業が活用可能な税制度概要を以下のとおり説明した。

  1. 日仏租税条約:現行(2007年1月改定)の日仏租税条約で、源泉所得税の限度税率が親子間配当は5%、配当一般は10%、利子に対しては10%に引き下げられ、使用料は免税となった。また、同条約により、駐在員が支払う従業員負担分の社会保険料をフランスで所得から控除する制度が設けられた。
  2. 駐在員の優遇税制:赴任前の5年間フランスの税務上の居住者でなく、赴任日以降フランスを税務上の居住地に定めていることを条件に、赴任日から起算して8年目の12月31日まで課税所得から海外勤務手当が控除される。2016年7月6日以前に赴任した場合、控除期間は5年間となる。
  3. 法人税率の引き下げ:売上高が763万ユーロ未満の中小企業には、課税所得3万8,120ユーロを上限に15%の軽減税率が適用される。2019年の基本税率は、50万ユーロまで28%、50万ユーロを超える分は売上高により31%か33.3%の税率となっているが、2022年までに基本税率は25%まで段階的に引き下げられる。
  4. ホールディング会社の設立による連結納税制度:グループ各企業の損益を総計し、フランスの子会社とともに連結グループを形成することで、法人税の一括申告を行うことができる。フランスのホールディング会社は子会社の資本95%を所有することで、子会社からホールディング会社へ支払われる配当金の99%について法人所得から免除される。
  5. 親会社と子会社間の税控除制度:通常税率で課税され、子会社の資本を5%以上保有している親会社(ホールディング会社)は、フランスまたは外国の子会社から受け取る配当金の95%まで法人所得から控除できる。グループ会社の場合、連結納税制度の活用により99%まで法人所得から控除できる。さらに、ホールディング会社がフランス国内外の子会社の株式を譲渡する場合、キャピタルゲインの88%までを法人所得から控除できる。
  6. 研究開発活動費税額控除:認可されたプロジェクトのための研究開発費用を対象とし、1億ユーロ未満の場合は経費の30%、1億ユーロ以上の場合は5%が法人税額から控除となる。

同セミナーは、中小企業海外展開現地支援プラットフォーム発足式(2019年11月28日記事参照)の後に実施された。中小企業のフランスでのビジネス展開において、これらインセンティブの有効活用が期待される。

(奥山直子)

(フランス)

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