11月末までの国家プロジェクト連邦予算執行率は約70%、予算外資金の動員に課題

(ロシア)

モスクワ発

2019年12月17日

ロシアのプーチン大統領が2018年5月に発表した2024年までの内政目標の達成に向けて、2019年から13分野にわたる国家プロジェクト(2019年2月12日記事参照)が始動している。ロシア国有メディア「タス通信」が運営する国家プロジェクト情報ポータルサイト「ロシアの未来外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」は12月12日、国家プロジェクト実施にかかる12月1日時点の2019年連邦予算執行状況を発表した。

同発表によると、連邦予算執行率は71.4%で、2019年予算総額1兆7,790億ルーブル(約3兆243億円、1ルーブル=約1.7円)のうち、約1兆2,700億ルーブルが支出された。プロジェクト別では、「人口」「科学」「文化」で80%以上の予算が執行されている(図参照)。他方、「国際協力・輸出」「環境保護」「デジタル経済」のプロジェクトの予算執行率は50%を下回っている。

図 2019年国家プロジェクト向け連邦予算の執行率

国家目標の達成状況をモニタリングしている会計検査院のアレクセイ・クドリン議長は、12月11日に行ったプーチン大統領への国家プロジェクト・モニタリング状況の報告で、2019年の予算執行が遅れた理由として、計画策定が遅れたプロジェクトがあったことや、公共調達の入札手続きに時間を要したことなどを挙げた。また、クドリン議長は、「環境保護」や「デジタル経済」などの幾つかの国家プロジェクト実行に当たり、想定されている民間などからの予算外資金の動員が進んでいないと明かした。予算外資金が投入されない理由として、投資インセンティブが用意されていないこと、十分なリスク管理分析がされていないことを指摘した。

会計検査院は、2019年2月から国家目標達成を監視するための情報サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを立ち上げ、4月からは毎月末に主要な指標の達成状況を公表している。

(戎佑一郎)

(ロシア)

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