楽天USA、日本食品のEC特設サイトで米国内での販売開始

(米国)

ロサンゼルス発

2019年12月06日

楽天USAは11月、米国のECサイト内に日本産食品特設コーナー「Japan Spot」を設置し、販売を開始した。米国EC市場で多くの販売が見込まれる菓子類や健康食品などの加工食品を中心にプロモーションを進め、消費者へ配送する。ジェトロが11月21日にロサンゼルスで開催した「物流研究会」で、楽天USAの川島拓洋氏が取り組みについて説明した。

今回設立された「Japan Spot」は、ジェトロが世界中の海外EC事業者と連携する「ジャパン・モール」事業の米国での展開事例。連携するECサイトの多くは日本国内に調達拠点があるため、日本の国内取引で完了し、返品リスクがなく、中小企業にとって安定した輸出ビジネスとなる(注)。

楽天USAは、米国のEC流通額が2018年の55兆2,000億円規模から2023年には約1.5倍の80兆5,000億円規模にまで膨らむと見込む。同社が直近3年間における米国内消費者の日本食品EC購買動向を分析したところ、常温で長期保存可能な菓子・クッキーの品目が非常に大きな流通規模を持つことが判明した。続いて、流通規模の大きさや前年からの販売の伸びが大きいことから、緑茶やグルテンフリー食品、クラフトビール、ラーメン、しらたき、日本産米なども有望とみられる。また、日本国内と同様に女性の利用者が多く、ネット販売でも健康ブームは健在という。そこで今後は、グルテンフリーなどの健康食品について、25歳から44歳の女性などを主なターゲットとしてPRを強化する予定だ。人口が多い州はもちろんだが、近くに日本食スーパーがない消費者もアクセスできるようになることで、日本食品市場が広がることが期待される。

米国内の物流は、グループ企業の楽天スーパーロジスティクスが通関のほか、在庫管理、梱包(こんぽう)、配送などを一括して行うフルフィルメントサービスを担う。米国内に11の配送センターがあり、米国本土の消費者への配送を可能としている。ただし、広大な米国は物流コストがかかるのが業界の課題だ。楽天は2019年3月に荷物回収サービスのファースト・マイルを買収し、同社が提携するDHLやUSPS、地元配送業者の顧客の荷物を楽天の配送センターに集約化することができるようになった。各配送業者と共同で米国内物流全体の配送スピードと配送料金の最適化を図っている。

川島氏は「今後もJapan Spotに掲載する日本産商品の取り扱いを広げていきたい。また、米国の消費者に届ける方法を持たない事業者や、物流コストが高くて悩んでいる事業者を支援したい」と説明した。

(注)米国では現地有力インポーターなどが調達を行い、楽天は販売のプラットフォームを提供している。

(北條隆)

(米国)

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