第3四半期のGDP成長率はマイナス0.6%、前期のプラス成長から反転

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2019年12月13日

南アフリカ共和国統計局は12月3日、2019年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(前期比、年率換算、季節調整済み)をマイナス0.6%と発表した(表1参照)。前期の3.2%(2019年9月10日記事参照)から、2期ぶりにマイナス成長となった。

表1  産業別GDP成長率(実質、前期比、年率換算、季節調整済み)

産業別では、鉱業がプラチナ類、石炭、鉄鉱石などの主要鉱物の生産減少により前期比6.1%減となり、製造業(3.9%減)、運輸・倉庫・通信(5.4%減)と並んでGDPを押し下げる要因となった。製造業は主に鉄鋼、非鉄金属生産の不振が影響した。電気・ガス・水道も配電量の減少により4.9%減となったほか、農林水産業も主要穀物の生産減少が続き、3期連続のマイナス成長となる3.6%減だった。

他方で、産業別GDPの約2割を占める金融・保険・不動産業・企業サービスは前期比1.6%増で、引き続きプラス成長になった。また、卸・小売り・飲食業も卸の好調により、2期連続のプラス成長となる2.6%増となった。

需要項目別にみると、需要全体の約6割を占める民間最終消費支出が、食品・飲料の消費が好調だったことにより前期に続くプラス成長となる0.2%増となった(表2参照)。投資(資本形成)をみると、総固定資本形成は機械設備・機器や輸送機器などの設備投資の拡大を受け4.5%増と、2期連続のプラス成長になった。5月に実施された国民総選挙(2019年5月31日記事参照)の結果を受けて、企業の投資心理が和らいだ影響とみられる。一方、在庫変動は製造業、卸、鉱業における在庫調整の影響により大きく縮小し、この結果、全体の資本形成が17.7%の大幅減となりGDP全体を押し下げた。財・サービスの輸入は、原油輸入の減少により6.8%減だった。

表2  需要項目別GDP成長率(実質、前期比、年率換算、季節調整済み)

10月に財務省は、南アの2019年の経済成長率の見通しを1.5%から0.5%に下方修正をしていたことから(2019年11月11日記事参照)、今回のマイナス成長の発表に市場の大きな反応はみられていない。当地大手銀行ネドバンクの調査チームは、第4四半期の成長率は上向くものの、2019年通年では0.4%程度の成長となると予想している(同行12月3日付「Economic Commentary」)。また、11月25日に声明を出したIMFは、南ア政府は財政赤字の拡大が続く状況に対処すべく、より断固たる姿勢で構造改革を進める必要があると警鐘を鳴らしている。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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