年金改革の反対スト始まる、公共交通網が混乱

(フランス)

パリ発

2019年12月10日

フランスで12月5日、政府の年金制度改革(2019年9月24日記事参照)に反対するストライキが始まった。パリ交通公団(RATP)やフランス国鉄(SNCF)、教員などがストに参加し、パリ市では無人運転の地下鉄1番線、14番線を除くほぼ全ての路線が運休した。パリと郊外を結ぶ首都圏高速鉄道(RER)線は通勤時間(午前6時半~9時半、午後4時半~7時半)のみ本数を大幅に減らして運行したが、それ以外の時間帯では運休した。

全国で行われた5日の年金改革反対デモは80万6,000人を動員する大規模なものとなった。パリ市内ではレピュブリック広場で一部暴徒化したデモ隊と機動隊が衝突したものの、2018年11月に起こった「黄色いベスト運動」のデモのような暴力的な行為は全般的に少なく、おおむね穏やかに推移した。

エドアール・フィリップ首相は翌6日、42ある年金制度を一元化する改革案について、政府が2018年1月からこれまでに労組および市民との協議を続けてきたことを強調。それを基に策定された政府改革案を12月11日に公表し、具体的な改革の内容についてさらに協議を続けることを約束した。フランス国鉄、パリ交通公団によるストは6日以降も続いており、主要労組のフランス労働総同盟(CGT)や労働者の力(FO)は10日に再度、大規模なデモを呼び掛けている。

(山崎あき)

(フランス)

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