ジャイシャンカール外相、インド太平洋地域構想についての方向性表明

(インド)

ニューデリー発

2019年12月24日

インド外務省は、インド世界問題評議会(ICWA:Indian Council of World Affairs)、環インド洋連合(IORA:Indian Ocean Rim Association)とともに12月13、14日、ニューデリーで「第6回インド洋ダイアログ」と「第11回デリーダイアログ」を開催した。両会合はどちらも、インド太平洋地域をテーマとしており、ASEANおよびIORA各国が参加。インド太平洋地域構想について、ジャイシャンカール外相がインドの方向性を表明するとともに、関係閣僚・政府関係者・有識者による意見交換が行われた。

既存のプラットフォームを活用し、成果を追求

12月13日の第6回インド洋ダイアログでは、インド太平洋地域に関する参加国の共通認識が「デリー・コンセンサス」として取りまとめられた。本コンセンサスでは、2019年ASEANが採択した独自のインド太平洋構想「ASEAN Outlook on the Indo-Pacific」(2019年6月28日記事参照)が歓迎されたほか、ダイアログへの参加各国が、国の大小に関係なく互いに尊敬し合い、包括的な地域としてインド太平洋地域を発展させていくことが確認された。

ジャイシャンカール外相は12月14日の第11回デリーダイアログで、コンセンサスが取りまとめられたことを歓迎。また、「インド太平洋」の概念には東アフリカ、南アフリカを含めたインド洋西側も含めるべきとしつつ、大きなプラットフォームをつくるよりは、東アジア首脳会議(EAS:East Asia Summit)、ASEAN海洋フォーラム拡大会合(EAMF:Expanded ASEAN Maritime Forum)、IORAなどの既存のプラットフォームをシームレスに活用し、成果を出すべきとの方向性を表明した。

RCEPについて、インドなどからの言及はなし

今回の会合ではインドネシア外相、タイ外相顧問、ブルネイ外務省次官らがインド太平洋地域の連携強化のためには経済協力を進めていくことが重要とし、インドの東アジア地域包括的経済連携(RCEP)参加への期待を示した。一方、ジャイシャンカール外相をはじめとするインドやカンボジア、ラオス、ミャンマーの政府高官からはRCEPについての言及はなかった。

(磯崎静香)

(インド)

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