アーメダバード~バンコク路線が拡充、駐在員らのアクセス改善

(インド)

アーメダバード発

2019年11月22日

タイ国際航空の格安航空子会社タイ・スマイル航空は10月28日、インド西部グジャラート州の最大都市アーメダバードとタイの首都バンコクを結ぶ定期便を就航した。2018年からこの路線にはマレーシアの格安航空会社エアアジアやインドの格安航空会社スパイスジェットが就航しており、新たな参入で拡充となった。現在、アーメダバードには日本からの直行便はなく、直行便のあるデリーやムンバイ、10月就航したばかりのチェンナイ(2019年7月22日記事参照)、2020年3月に就航予定のベンガルール(2019年11月7日記事参照)と比べると、アクセスに制限はあるが、今回のフライト拡充によりバンコク経由を利用する日本人駐在員やアーメダバードを訪問する観光客などが増大する可能性がある。タイ国際航空では今後、日本の旅行会社向けにアーメダバード視察ツアーを企画し、日本人駐在員の生活環境や観光地などを把握する機会を設けるという。

州政府、マハトマ・ガンディー生誕の地や世界都市遺産をアピール

グジャラート州政府は観光開発にも力を入れている。2019年はマハトマ・ガンディーの生誕150周年に当たり、「ガンディー・アシュラム」(注1)など関連施設のリニューアル工事を実施した。また、2017年にユネスコ世界遺産都市に認定されたアーメダバード市の旧市街の景観整備、沿岸周辺の島の観光開発の可能性調査なども実施中だ。州政府観光局ウェブサイトでは、日本語を含む10言語で観光情報を発信しており、外国人観光客の取り込みを狙っている。

アーメダバードから約200キロ離れたケバディアに建立された高さ182メートルの世界一高い銅像「スタチュー・オブ・ユニティ(SOU)」もインド人観光客を中心に人気だ。インド独立の立役者の1人であるサルダール・パテル(注2)の銅像で、2018年10月31日に建立された。この1年で271万7,468人が訪問、入場料などによる総収入額は約8億650万ルピー(約12億1,000万円、1ルピー=約1.5円)と報じられている(「タイムズ・オブ・インディア」紙11月12日)。10月31日の建立1周年記念式典に参加したナレンドラ・モディ首相は「SOUが世界中の多くの観光客を呼び込むことに期待したい」と述べた。

写真 来場者でにぎわうSOU(統一の像)(7月17日、ジェトロ撮影)

来場者でにぎわうSOU(統一の像)(7月17日、ジェトロ撮影)

(注1)アーメダバード市内にあるガンディーが1930年まで修行・活動した施設。寝起きした非常に質素な家に実際に使った糸を紡ぐ車や台所が展示されているほか、博物館が併設されている。

(注2)サルダール・バラブバーイー・パテル(1875年10月31日~1950年12月15日)。グジャラート州出身の政治家、インド国民会議派(コングレス)所属。1947年組閣の第1次ネルー内閣で初代副首相・内相を務めた。インド・パキスタン分離独立に際し、550以上あった藩王国がそれぞれ独立をしようとした中、インドを1つの国に統一するため各藩王国の説得に尽力した。その巧みな手腕を賞して「インドの鉄の男」「インドのビスマルク」とも呼ばれる。

(丸崎健仁)

(インド)

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