第5回民主党米大統領候補者討論会、若手のブッティジェッジ候補に関心集まる

(米国)

ニューヨーク発

2019年11月22日

2020年米国大統領選挙の民主党候補者による第5回民主党討論会が、11月20日にジョージア州アトランタで開催された。MSNBCおよび「ワシントン・ポスト」紙主催による今討論会では、民主党全国委員会(DNC)の基準を満たした10人の候補者が登壇した(注1)。トランプ大統領の弾劾に関する公聴会が連日行われている最中の討論会となり、いずれの候補者も大統領は弾劾に値する行為を行ったとの点で一致した。候補者同士では、10月以降、支持率を上げているピート・ブッティジェッジ氏(37歳)に対し、他の候補がどう挑むかに関心が集まった。

各候補者の詳細は、2019年11月8日記事参照

トランプ大統領は弾劾に値するとの点で一致

討論会の冒頭では、トランプ大統領の弾劾に焦点が当たった。いずれの候補者も、トランプ氏の行為は、弾劾されるに値するものだとの主張で一致した。現在、支持率トップのジョー・バイデン氏は、民主党内で分裂をするのではなく、大統領選で勝利を収めることができる最有力の候補者は誰なのかを問うべきだと訴えかけた。そして、ドナルド・トランプ大統領がウクライナ政府にバイデン氏に関する調査を働き掛けたことに端を発する今回の弾劾手続きの中で、「トランプ氏が私に民主党大統領候補になってほしくないことを確信した」と、自らの正統性を強調した。

支持率上昇で脚光を浴びるブッティジェッジ氏

ブッティジェッジ氏は10月以降、世論調査での支持率を上げており、2020年2月に全米で最初に民主党党員集会(予備選挙)が行われるアイオワ州と、続いて予備選が行われるニューハンプシャー州では支持率がトップとなっている。同氏に対しては、エイミー・クロブチャー氏が暗に、地方都市での政治経験しかなく、ワシントンで政治を動かした経験がない点を指摘する場面があった。これに対してブッティジェッジ氏は、ワシントンでの政治経験が全てではなく、現に、ワシントンの政治が機能不全に陥っている点を批判した。

ウォレン氏の勢いにかげり

エリザベス・ウォレン氏が提唱する富裕税とメディケア・フォー・オール(国民皆保険)には、引き続き他の候補者から厳しい追及がみられた。特に、コーリー・ブッカー氏は富裕税に関して、所得層別の課税制度は国民からの支持を損ないかねないと厳しく批判し、ウォレン氏の政策は依然として党内を二分している状況だ。各種世論調査の平均値では、ウォレン氏の支持率は10月初旬の26.8%をピークに、今回の討論会翌日の11月21日には18.5%まで下がっている(リアル・クリア・ポリティクス)。

「ワシントン・ポスト」紙は、今回の勝者をブッティジェッジ氏、クロブチャー氏とし、敗者をバイデン氏、タルシ・ガバード氏とした。

次回の討論会は12月19日にカリフォルニア州ロサンゼルスで、PBSニュースと「ポリティコ」紙により開催される。現時点では、DNCの基準を満たす次の6人の候補者(注2)の登壇が確定している。

(注1)バイデン前副大統領、ウォレン上院議員(マサチューセッツ州)、バーニー・サンダース上院議員(バーモント州)、カマラ・ハリス上院議員(カリフォルニア州)、ブッティジェッジ・インディアナ州サウスペンド市長、クロブチャー上院議員(ミネソタ州)、ブッカー上院議員(ニュージャージー州)、ガバード下院議員(ハワイ州)、実業家のトム・ステイヤー氏、アンドリュー・ヤン氏の10人。

(注2)バイデン氏、ウォレン氏、サンダース氏、ハリス氏、ブッティジェッジ氏、クロブチャー氏の6人。

(湯浅麻里絵、磯部真一)

(米国)

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