中国との南シナ海ガス共同開発に向けて共同運営委員会立ち上げ

(フィリピン)

マニラ発

2019年11月14日

フィリピンのエスペロン国家安全保障会議議長は10月25日、ドゥテルテ大統領と中国の習近平国家主席の8月29日の首脳会談(2019年9月5日記事参照)において、中国側から出された、南シナ海の領有権をめぐる2016年のハーグ常設仲裁裁判所の中国側主張を退ける判決を無視することを条件に、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内のリード礁周辺の海域におけるガス共同開発の権益の60%をフィリピンに譲渡し、中国側が40%を保有するという提案に関して、両国で議論を進めていく方針を示した。両国は既に、本件に関する共同運営委員会を立ち上げ、エネルギー省の協力の下、外務省がフィリピン側の委員長を務めるという。

エスペロン議長は、探鉱に必要な経費を全て中国側が負担した上、フィリピンに権益の60%を譲渡するという提案は、フィリピンにとって十分に公平なものだとした上で、「フィリピンが保有する権益は60%と確定したわけではなく、このような大規模な投資プロジェクトにおいては1%の違いも大きく、61%以上となる可能性もある」と説明した。

エスペロン議長はさらに、フィリピンのEEZ内における外国船や外国の機関による科学調査を、一時的に解禁する意向を示し、「持続可能な海底資源開発のため、フィリピンのEEZ内での科学調査は、そのはじめの一歩となる」とした。

フィリピンで唯一の天然ガス田であるマランパヤ天然ガス田は、2024年までに枯渇するといわれており、東京ガスとフィリピンのロペス財閥のファースト・ジェンが、共同で液化天然ガス(LNG)受け入れ基地の建設事業を進めている。そのほか、フィリピン国営石油会社(PNOC)と中国海洋石油(CNOOC)、フェニックス・ペトロリアムの3社による、新たなLNG受け入れ基地の建設も検討されている(2019年9月6日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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