オーストラリア中銀、政策金利を過去最低の0.75%に据え置き

(オーストラリア)

シドニー発

2019年11月07日

オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は11月5日、政策金利を過去最低の0.75%に据え置くことを決定した。RBAは2019年に入って6月、7月、10月の3度にわたって政策金利を0.25ポイントずつ引き下げてきたが(2019年10月3日記事参照)、今回は利下げ効果を見極める姿勢を示した。

RBAのフィリップ・ロウ総裁は「オーストラリア経済が緩やかに転換点に達しているとの見方は変わらない」として、2019年の経済成長は2.25%、2021年には次第に回復して約3%に成長するとの見通しを示した。

同総裁はまた、失業率は5.25%前後がしばらく続き、2021年には5%をやや下回る水準まで低下するとした。賃金は伸び悩んでいるものの、2019年第3四半期(7~9月)の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同期比1.7%とおおむね予想どおりで、2020~2021年には2%近くまで緩やかに回復するとの見込みを示した。

不確実要素としては、個人消費の伸び悩みや干ばつの影響、住宅建設市場の落ち込みなどがあるとして、ロウ総裁は「持続的な経済成長のため、さらなる金融緩和を行う用意がある」としている。

インフレ目標2~3%は変えず

ジョシュ・フライデンバーグ財務相は同日、現在のインフレ目標(2~3%)を維持するとあらためて表明した。この目標は連邦政府とRBA総裁による金融政策に関する共同声明の中で示されている。初めて声明が出された1996年以降、連邦政府の閣僚またはRBA総裁の交代のタイミングでこれまで7回更新されているが、目標域は20年以上にわたって維持されている。

フライデンバーグ財務相は「世界経済の不確実性の中にあっても、継続性と一貫性を保つことによって、オーストラリアが安定し、予見可能性の高い市場であることを示すことができる」と力説した。また、現在は目標域を下回っているものの、中期的には上昇するとの見通しを示した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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