カナダAIスタートアップのエレメントAI、アイシン精機との戦略的提携発表

(カナダ、日本)

米州課

2019年11月08日

カナダの人工知能(AI)スタートアップ、エレメントAI(Element AI)は10月30日、アイシン精機と戦略的提携関係を結んだと発表した。両社は、アイシン精機の自動車部品生産工程における異常検知に、エレメントAIが開発する「説明可能なAI」の技術(注)を導入することを目指す。

エレメントAIの産業ソリューション・ヘッドのカーシック・ラマクリシュナン氏はプレスリリースで、重要な製造環境において説明可能性を伴ってAIを運用することがしばしば見落とされていると指摘。「より正確で信頼できる異常検知のための説明可能性があるプロトコルを設計し実装するために、今回の協業を始めることを楽しみにしている」と述べた。

アイシン精機も10月18日、エレメントAIとAIの説明可能性に関する共同開発プロジェクトを開始したと発表した。プレスリリースで、説明可能なAIの技術により「自動車関連の生産技術においても、これまで判定根拠が見えなかったことによって起きていた品質の低下を防ぎ、人工知能の積極的な活用を推進していく」としている。

エレメントAIは、深層学習の先駆者の1人であるヨシュア・ベンジオ・モントリオール大学教授らにより2016年10月に設立された。本社を置くケベック州は、カナダ政府の「イノベーション・スーパークラスター・イニシアチブ」で「スケールAI」クラスターに指定されており、モントリオールを中心にAI分野のエコシステムが形成されている(2018年6月11日付地域・分析レポート参照)。また、デンソーは2019年1月にモントリオールにAI研究開発センターを開設(2019年1月16日記事参照)するなど、同州のAIエコシステムに日本企業も注目している。

(注)AIの深層学習により導出された判断について、その根拠を説明可能にする技術。

(甲斐野裕之)

(カナダ、日本)

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