IMF専務理事とアルゼンチン次期大統領、初の電話会談を実施

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2019年11月26日

IMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事とアルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス次期大統領は11月19日、大統領選挙後初となる公式の電話会談を行った。アルゼンチンは2018年に経済危機に直面した際、IMFにとって過去最高額となる573億ドルのスタンドバイ融資を受けることに合意しており、現在、第5次レビューにかかる54億ドルの融資実行を待っている。今回の会談を皮切りに、今後、債務再編交渉が行われるとみられ、ゲオルギエバ専務理事は「建設的な話ができた」との声明を発表した。

フェルナンデス次期大統領はゲオルギエバ専務理事に対して、IMFおよびその他の債権者に対して持続可能な債務返済計画を提案することを約束したが、緊縮財政を盛り込むことは難しいとの考えを伝えた。アルゼンチンでは現在、貧困問題が深刻化しており、政府の債務返済計画も貧困層に与える影響を十分考慮しなければならないという事情があり、フェルナンデス次期大統領は「事態が極めて複雑なため、これ以上の支出削減はできない」と述べた。

これに対しゲオルギエバ専務理事は、フェルナンデス次期政権が雇用創出、国民の生活の向上を重視して、貧困や飢えの削減を最優先にする姿勢に理解を示し、同事情を鑑み、世界銀行および米州開発銀行とも現在、話し合いを行っていることを明らかにした。さらに、専務理事は電話会談の中で、IMFはフェルナンデス新政権に協力し、アルゼンチンの持続的な成長と貧困削減に向けて努力する意思があることを強調し、さらにアルゼンチンの国益のために開かれた対話を引き続き行うことに合意したという。

11月20日付「クラリン」紙によれば、電話会談翌日の20日には、IMF西半球局長のアレハンドロ・ウェルナー氏が現地メディアのインタビューに対して、フェルナンデス次期政権の具体的かつ詳細な債務返済計画を見てから再交渉を開始したいと述べた。ウェルナー氏は、11月8日にマイアミで大統領選挙後初となる非公式会談に出席した人物と報道されている(2019年11月21日記事参照)。さらに同氏もまた、2019年末には57.3%になると予測されている高い年間インフレ率(2019年10月30日記事参照)がアルゼンチンの貧困の深刻化を助長しているとして、アルゼンチンが持続可能な成長とインフレ率の低下を達成できるよう次期政権と協力したいとの考えを示した。

(津下みなみ)

(アルゼンチン)

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