実質GDP成長率、2四半期連続で前年同期比マイナス、景気低迷が鮮明に

(メキシコ)

メキシコ発

2019年11月29日

メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)は11月27日、2019年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率の確定値を発表した(添付資料参照)。成長率は季節調整済み前期比で0.01%と辛うじてプラスとなったが、10月30日に発表した速報値の0.1%(2019年11月5日記事参照)から下方修正された。前年同期比ではマイナス0.3%となり、2四半期連続で前年同期比マイナスとなった。

季節調整済み前期比で産業分野別成長率をみると、プラスになった分野は通信・マスメディアが4.94%、農牧・林業・水産が3.29%、電気・ガス・水道が1.75%、鉱業が1.21%だった。鉱業は2019年第2四半期(4~6月)まで6四半期連続で前期比マイナス成長だったが、第3四半期はプラスに転じた。ただし、前年同期比ではマイナス4.2%と22四半期連続でマイナス成長だった。鉱業とは異なり、建設業は前期比および前年同期比ともにマイナス成長が続いている(それぞれマイナス2.28%、同6.9%)。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール政権の歳出削減政策によって公共事業への投資が冷え込んでいる影響だ。鉱業はプラスに転じたものの、建設業のマイナス幅が大きく、鉱工業セクター全体では前期比マイナス0.12%となった。前年同期比では、建設業と鉱業がそれぞれ0.48ポイント、0.2ポイント押し下げ、2019年第1四半期(1~3月)から3四半期連続のマイナスだった。サービス産業では、GDP全体に占める割合が高い卸売業、金融・保険が前年同期比でマイナスだったものの、小売業(前年同期比2.9%)、通信・マスメディア(4.1%)などによって、同セクター全体ではプラス成長に転じた(0.1%)。

国際機関、民間銀行もほぼゼロ成長と予測

INEGIは今回の第3四半期の確定値とともに、2018年第4四半期(10~12月)および2019年第2四半期の季節調整済み前期比の実質GDP成長率を下方修正し、2期ともにマイナスだったと発表した。また、中央銀行が11月1日に発表した民間シンクタンクへのアンケート調査結果によると、国内外36の民間シンクタンクによる2019年のメキシコのGDP成長率平均値(10月調査時点)は0.26%となり、前月から0.17ポイント下降した。IMFの11月26日付発表によると、2019年のメキシコの成長率は0.0%で、2020年が1.3%、2021年が1.9%だった。他方、民間銀行の2019年末の最新経済予測によると、シティバナメックスが0.3%、バークレイが0.1%、バノルテとスコシアバンク、CIバンコが0.0%などとなっている。

(志賀大祐)

(メキシコ)

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