第3四半期は前期比でほぼ横ばい、INEGIがGDP速報値を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2019年11月05日

国立統計地理情報院(INEGI)は10月30日、メキシコの2019年第3四半期のGDP成長率(速報値)を発表した。これによると、第3四半期の実質GDPは季節調整済み前期比で0.1%増、前年同期比ではマイナス0.4%、1~9月の前年同期比はゼロ成長(0.0%増)となった。前期比でみると、農林水産業が3.5%増と好調だったが、鉱工業は0.1%減、サービス業はゼロ成長(0.0%増)と振るわなかった。前年同期比でみても、農林水産業が5.3%増と好調な一方、鉱工業は1.8%減、サービス業はゼロ成長と低迷した。1~9月の前年同期比でみると、農林水産業が4.2%増、鉱工業が1.8%減、サービス業が0.6%増となっている。

産業分野別にみると、経済成長の足を引っ張っているのは鉱工業で、特に建設業と鉱業の活動水準が低い。建設業は、政権交代による公共事業の着手の遅れや現政権下の緊縮財政によるエネルギー分野を除く公的投資の停滞が影響している。鉱業は、特に前政権から続く石油生産の減退が大きく響いており、2019年8月時点の石油・天然ガスの生産指数は2016年1月を100とすると74.3まで落ち込んでいる。ただし、建設業の生産指数は、5月を底に上向いており、石油・天然ガスも8月は前月に比べると上昇しているため、明るい兆しがないわけではない(添付資料図1参照)。

国家炭化水素委員会(CNH)のデータによると、原油生産量は民間鉱区における生産が貢献し、2019年5月を底に6月以降は上昇に転じており、9月には日量171万3,000バレルまで回復している(添付資料図2参照)。

投資の低迷が深刻

国民経済の需要に関連するデータは7月までしか発表されていないが、2019年のメキシコ経済低迷の主要因は投資の停滞だ。民間消費は伸びが緩慢なものの、2016年1月を100とすると2019年7月は108.4の水準に達しているが、固定資本形成(投資)は93.0の水準にある。固定資本形成のうち、設備投資は94.0、建設投資は91.0で、建設投資のうち特に非住宅建設投資が公共事業の停滞を受けて83.9と落ち込んでいる。設備投資については、外国直接投資が堅調(2019年8月30日記事参照)なため、現政権下における経済政策の不透明さが影響してか、国内の投資家が投資を控えている様子がうかがえる(添付資料図3参照)。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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