1~9月のインフレ率、2018年通年から半減

(フィリピン)

マニラ発

2019年10月10日

フィリピン統計庁(PSA)は10月4日、9月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)を0.9%と発表した。同じく0.9%を記録した2016年5月以降最も低い値で、前月比で0.8ポイント減、前年同月比で5.8ポイント減となった。2019年1月から9月までのインフレ率は平均で2.8%となり、2018年通年の5.2%のインフレ率から半減近い数字となった(表参照)。

表 フィリピンのインフレ率

PSAは2019年9月のインフレ緩和の主な要因として、コメの価格が前年同月比で8.9ポイント低下したことを挙げている。PSAによると、8月末時点のコメ農家からの買い入れ価格は1キロ当たり16.88ペソ(約33.45円、1ペソ=約2.1円)と、これまでの平均的な価格よりも4.4%程度低下している。なお、農業省は8月、輸入米に適用している緊急関税制度(セーフガード)によって、35%の輸入関税率を少なくとも2倍(70%)以上に引き上げる方針を示した。そのほかでは、通信が0.2%、住宅・水道光熱費が0.8%、娯楽・文化が1.4%のインフレ率にとどまったことも、全体的なインフレ緩和につながったとみられる。

9月14日にサウジアラビアで発生した石油施設への攻撃による原油価格の上昇に伴って、国内のインフレは止まらないとの見方を示すエコノミストもいた。一方、フィリピン政府は年初から2019年のインフレ率を2~4%と予測しており、中央銀行(BSP)が9月に預金準備率を16.0%から15.0%に、政策金利を4.25%から4.00%に引き下げると発表するなど、インフレ緩和予測を裏付ける金融緩和策を講じていた(2019年10月1日記事参照)。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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