テネシー州でサザン・オートモーティブ・カンファレンス、業界の課題を語る

(米国)

アトランタ発

2019年10月10日

9月25~27日に、米国南東部6州(アラバマ州、サウスカロライナ州、ジョージア州、テネシー州、ミシシッピ州、ケンタッキー州)の自動車製造業協会、および南部自動車女性フォーラム(SAWF)共催による「サザン・オートモーティブ・カンファレンス(SAC)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」がテネシー州ナッシュビルで開催された。南東部を中心に約230社の自動車関連企業・団体が出展する中、ジェトロは国別ブースとしては最大となるジャパンブースを3年連続で設置、日系自動車関連企業20社が自動車部品サンプルなどを展示した各テーブルで商談を行った。

会期中は、展示会と同時並行で自動車関連テーマに基づく講演会が開催された。9月26日には、テネシー州のボブ・ロルフ経済開発庁長官が登壇、同州の労働組合加入率の低さ、低い税率、企業進出に対する助成金制度などがビジネスしやすい環境をつくりあげていることを述べたほか、自動車産業では関連雇用が14万人以上と南東部最大で、中西部から南東部にかけて集積する自動車メーカーの拠点にアクセスしやすい立地である優位性にも触れて、さらなる自動車関連企業の進出を歓迎することを強調した。2019年発表されたミツビシ・モーターズ・ノース・アメリカの同州への本社移転(2019年7月29日記事参照)についても言及し、日本はテネシー州にとって最大の投資国で、友好関係の深い国だと述べた。

地元産官学と連携して人材育成に取り組む

9月27日には、南東部に拠点を構える自動車メーカー3社幹部によるパネル対談が行われ、技術革新への対応や人材育成といった業界共通の課題に対して、各社の見解を示した。

トヨタ・ミシシッピのバイスプレジデント・オブ・アドミニストレーションのエミリー・ローダー氏は、技術革新がもたらす業界の変化に対応する変革期として、同社は自動車をつくる会社からモビリティカンパニーになっていくと述べ、東京オリンピックでモビリティ手段の提供をしていく計画も紹介した。また、業界全体が直面する人材確保の課題については、地元テクニカルカレッジと連携した若者向けトレーニングプログラムを通じて、技術人材を雇用につなげる同社の取り組みを紹介した。

キア・モーターズ・マニュファクチャリング・ジョージアのチーフ・オペレーティング・オフィサー(COO)のスチュアート・カウンテス氏は、低水準が続く失業率や団塊世代の退職がもたらす人材確保の困難な時代に、政府・地方自治体・テクニカルカレッジなどの産官学が連携したアプローチが必要だと述べ、同社が実際に活用したジョージア州の人材育成プログラム「クイック・スタート」を紹介した。

ボルボ・カー・US・オペレーションズのホワイトボディ・ディレクターのハリー・ホワイト氏は、「電動化」「自動化」が進む時代の中、同社も電動化戦略に向けた体制を整えていることを話し、その上で重要なのは人工知能(AI)を操れる人材育成と述べた。具体的な取り組みとして、同社では小学校との共同プロジェクトなどを通して、長期的な視点から将来の業界イメージの形成やエンジニア人材の育成に投資している事例を紹介した。

(ユン啓子)

(米国)

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