1~9月の実質GDP成長率は6.2%、投資・消費ともに減速

(中国)

北京発

2019年10月28日

中国国家統計局の10月18日の発表によると、2019年1~9月の実質GDP成長率は前年同期比6.2%となった。第3四半期(7~9月)の成長率は6.0%で、四半期ベースでの統計が確認できる1992年以来最低の水準だった(添付資料の図、表参照)。

需要項目別にみると、最終消費支出(消費)の寄与率は60.5%、総固定資本形成(投資)は19.8%、外需は19.6%となり、引き続き消費が成長を牽引した。

投資では、全国固定資産投資(農家を除く)が前年同期比5.4%増で、上半期から0.4ポイント下落した。うち、インフラ投資は4.5%増で上半期の4.1%増から若干回復した。一方、民間投資は4.7%増と、上半期から1.0ポイント下落した。不動産開発投資は10.5%増となり、上半期よりも0.4ポイント下落した。

消費(社会消費品小売総額)は前年同期比8.2%増となり、上半期から0.2ポイント下落した。7月から発表されるようになった自動車を除いた小売総額は9.1%増だった。消費のうち、インターネット上の実物商品小売額は20.5%増(上半期は21.6%増)で19.5%を占めた。一方、自動車販売は0.7%減となった。中国汽車工業協会の発表でも、1~9月の自動車の販売台数は10.3%減と、減少傾向が続いている(注)。

工業生産増加額〔付加価値ベース、年間売上高2,000万元(約3億円、1元=約15円)以上の企業が対象〕は前年同期比5.6%増で、上半期から0.4ポイント下落した。

主要製品では、金属切削機械や産業用ロボットなどの生産設備、自動車、スマートフォンなどが引き続き減少した。集積回路は上半期より4.9ポイント上昇し、プラスに転じた。

今後の経済見通しについて、統計局の毛盛勇報道官は、既に実施している減税と費用削減策や地方政府による特別地方債(専項債)発行の効果により、消費や投資が下支えされることなどから、第4四半期(10~12月)も安定的な成長を遂げるとしている。一方、交通銀行の連平主席エコノミストは、内外需の弱まりによって企業の投資や生産意欲が依然として弱いことから、第4四半期の成長がさらに減速する可能性もあるとしている(「21世紀経済報道」10月19日)。

(注)1~9月の貿易動向については2019年10月24日記事を参照。

(小宮昇平)

(中国)

ビジネス短信 e43b7c5d0d0df4f0