中国の第3四半期の貿易、対米輸出の減少幅が拡大

(中国、米国)

北京発

2019年10月24日

中国海関(税関)総署の10月14日の発表によると、2019年第1~3四半期(1~9月)の貿易総額は前年同期比2.4%減の3兆3,518億ドルとなった。うち輸出は0.1%減の1兆8,251億ドル、輸入は5.0%減の1兆5,267億ドルで、2,984億ドルの黒字となった。元建てでも総額が2.8%増、輸出が5.2%増、輸入が0.1%減となり、上半期よりも減速した(2019年7月17日記事参照)。

主要国・地域別の貿易をみると、輸出では、米国、香港、日本向けが引き続き減少し、EU、ASEAN向けは増加した。対米輸出は10.7%減となった(上半期は8.1%減)。輸入では、上半期に前年同期比マイナスだったASEANがプラスに転じた一方、韓国、日本の減少幅が拡大した。米国からの輸入は26.4%減(上半期は29.9%減)となった(表参照)。

表 中国の主要国・地域との貿易額

税関総署による分類に基づく品目別に貿易額をみると、輸出では、携帯電話、液晶ディスプレー、鋼材、レアアースなどが引き続き減少し、集積回路、プラスチック製品、精油、玩具などは増加した。輸入では、大豆、穀物が上半期に引き続き2桁減(減少幅は縮小)となったほか、集積回路、自動車部品、半導体部品、鋼材、固体廃棄物、金属加工機械などが減少した。また、完成車の輸入がマイナスに転じた。一方、天然ガス、医薬品の輸入は引き続き増加した。ほかに、アフリカ豚コレラの影響を受けて、第3四半期(7~9月)までの豚肉輸入量は約133万トンと前年同期比で43.6%増加した。

税関総署の李魁文報道官は、第3四半期までの貿易は全体として安定していたと評価した。また、第4四半期(10~12月)については、対米貿易は減少しているものの、EU、ASEANなどとの貿易が増加していることなどを挙げ、米中貿易摩擦などの影響を受ける中でも安定した貿易を保つことができると見通した。

一方、商務部国際貿易経済合作研究院国際市場研究所の白明副所長は、国際市場の需要不振や米中貿易摩擦によるマイナスの影響が顕在化したことにより、中国の貿易は依然として楽観できない状態にあると指摘している。交通銀行金融研究センターの劉健研究員も、10月からの米中両国による関税引き上げが輸出入双方に大きな影響を与えるとした(「21世紀経済報道」10月15日)。

(小宮昇平)

(中国、米国)

ビジネス短信 63f99fde472544e1