政府への抗議活動の影響が拡大、飲食店や化粧品店などの閉店が相次ぐ

(香港)

香港発

2019年10月02日

香港では、デモ活動が本格化した6月以降、飲食業を中心に小売業への影響が拡大している。飲食業では、既に閉店が相次いでおり(2019年9月10日記事参照)、業界全体の売り上げも低迷している。9月24日付の「経済通」によると、香港の飲食業関連業界団体である餐飲聯業協会の黄家和会長は「この3カ月間で業界の売り上げ損失は約75億香港ドル(約1,050億円、1香港ドル=約14円)に達し、7~8月の2カ月間で飲食店が200店以上閉店している。また、現在の状況は2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行時よりも深刻で、社会の混乱が継続すれば、香港へ訪れる観光客も減少が続き、加えて地元民の消費意欲も低迷することで、業界にさらに大きなダメージを与える」とした。

小売業への影響も深刻だ。同紙によれば、香港の化粧品販売最大手の莎莎国際は9月18日、2019年4~8月の5カ月間は全社的に赤字状態が続いており、同期間における売上高は前年同期比15%減の30億香港ドルとなった。中でも、8月の売上高は前年同月比28%減(マカオ市場を含めた売上高は32%減)と、5カ月間で最も落ち込みが大きかった。手元資金は十分にあるものの、店舗賃料の値下げ交渉や積極的な人件費削減、割引や優遇などの販売プロモーション活動による在庫の圧縮と現金の確保に努めるとしている。

9月14日付「香港経済日報」によると、中国広東省深セン市との国境に近い上水地区では、大陸からの日用品の買い出し客が大幅に減少し、化粧品販売店や薬局が経営難に陥っている。直近で、10店舗が店舗賃貸契約を更新せず、閉店したという。

アパレル関連では、米国ファストファッションチェーンのフォーエバー21の香港最後の店舗だった旺角(モンコック)店が閉店したほか、香港ファッションブランドのエスプリでは来客数が40%減となっている(「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙9月19日、9月25日)。

(渕田裕介)

(香港)

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