米衣料品店フォーエバー21、破産法第11章の適用申請

(米国)

ニューヨーク発

2019年10月15日

米国カジュアル衣料チェーンのフォーエバー21(本社:カリフォルニア州ロサンゼルス)は9月29日、米連邦破産法第11章(Chapter 11、日本における民事再生法に相当)の適用を申請した。同社はウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、米国を中心に引き続き事業を行う方針を発表する一方で、アジアや欧州地域からの撤退を含めて国際的な事業体制を見直すことで、事業の再構築を進めていくとの意向を示した。

消費者の嗜好変化やオンライン化などが要因

同社が裁判所に提出した申立書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、破産申請に至った要因として、競合他社との競争激化、消費者の購買行動の変化、出店先であるショッピングモールの客足減少などを挙げている。同社の副社長であるリンダ・チャン氏は、最近では「レンタル品や中古品など(で衣服を選ぶ人が増えていると)の話もよく聞くようになり、間違いなく(小売市場に大きな)変化が起きている」とし、「こうした変化を確実に先取りするとともに、ただ立ち止まってはいたくない」と述べた(「ニューヨーク・タイムズ」紙9月29日)。

1984年創業のフォーエバー21は、流行を意識したデザインの衣料品を低価格で売るファストファッションブランドとして、若い世代を中心に支持されてきた。前述の申立書によると、最盛期には世界各国で計4万3,000人を雇用し、年間売上高は41億ドルまで達したという。しかし最近では、オンライン化の進展などを背景として、主要な収益源であるショッピングモールでの売り上げが減少していた。同社の最高事業再構築責任者であるジョナサン・グールディング氏は「フォーエバー21の店舗の多くはショッピングモール内にあり、(モールへ向かう客足が減少する中で)近隣の店舗が閉鎖することで、フォーエバー21の店舗前を通る消費者も減った」とし、これにより「主要な販売チャンネルである実店舗での売り上げが低下していた」と述べた。

一方で、英国調査会社グローバルデータ・リテールのマネージング・ディレクターのニール・サンダース氏は、これに加えて「ここ1年ほどで、(フォーエバー21の)店舗ディスプレイの質、商品、店舗で受ける刺激といった点への消費者の評価が大きく低下」しており、オンラインでの買い物が容易になった時代に「(店舗を含む)物理的資産を管理せず、そこからの収益性が低下していた」(「USAトゥデー」紙電子版10月1日)と指摘する。

なお、2019年上半期の小売業者の破産申請数は14件と、2018年の同時期(13件)を上回っている(2019年9月30日記事参照)。

(樫葉さくら)

(米国)

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