英国政府がブレグジット準備報告書を発表

(英国、EU)

ロンドン発

2019年10月16日

英国政府は10月8日に、合意なき離脱(ノー・ディール)への準備報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。報告書では、複数の質問に答えることでブレグジットも準備すべき項目を参照できるウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開設し、利用を推奨、また、ノー・ディールの際に予測される国境での混乱を避けるべく、EUからの輸入に適用できる移行簡易手続き(TSP)(2019年3月26日記事参照)を導入、また、輸入VATの繰り延べ制度や、輸入金額ベースで88%の物品の輸入を無関税にする暫定関税率(2019年10月9日記事参照)などの緩和措置の導入を進めていことに言及している。基準認証に関し、政府はノー・ディールの際にCEマークに代わる英国独自のUKCAマークを導入するが、CEマークを取得済みの製品に関しても、離脱後に一定期間は英国での上市を可能にするとしている。このほか、市民の権利やデータ移転、サービスなど各分野への準備状況が網羅されている。ノー・ディールへの準備措置に関しては、2019年9月17日付ジェトロ地域・分析レポートを参照。

一方で、英国歳入関税庁(HMRC)は10月7日、財の貿易へのノー・ディールの影響評価外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。HMRCが2017年のデータを基に試算したところ、英国の輸出入申告手続きには1件当たり15~56ポンド(約2,055~7,672円、1ポンド=約137円)のコストがかかっていた。ノー・ディールとなった場合、同様のコストがEUの輸出入でも発生することから、2017年の英国・EU間の物流量に換算すると、年間150億ポンドのコストが発生すると試算している。

(木下裕之)

(英国、EU)

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